外傷性散瞳は、鈍的外傷により前房内圧が上昇し、角膜輪部の伸展、房水の後方および隅角部への移動と、瞳孔括約筋の断裂などにより眼球内にけがを生じて散瞳状態になることを指します。(図)
受傷時に前房出血が有れば虹彩根部での虹彩離断(iridodialysis)や、より軽度であれば隅角乖離(angle recession)の合併も考えます。
診断:
- 外傷による散瞳であるか確認するため、眼瞼下垂や眼球運動障害の有無も合わせて確認します。
- ペンライトを用いて対光反射・近見反応、RAPDの有無を確認します。対光反応・近見反応は減弱あるいは消失する。視神経障害があればRAPDは陽性となります。
治療:
- 外傷性散瞳自体の治療法はありません。
- 近方視力が低下していれば眼鏡等で調節し、羞明に対しては遮光眼鏡や虹彩付きコンタクトレンズを装用します。縮瞳作用のあるピロカルピン点眼も使用が考慮できます。
予後:
- 視力予後は良好で、ほとんどは数時間から数週間以内に瞳孔径にかかわらず回復します。
- しかし、中には障害が強く、散瞳状態が残存することがあります。
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