神経眼科

[No.2721] 機能的(心因性)視力障害のトンネル視野:文光堂『眼科診療 秘伝の書』編集進行中

医学出版社文光堂では『眼科診療 秘伝の書』という、今までになかった企画の眼科書の校正が進んでいます。私の担当させていただいた項目は最後の項目で、「心因性視覚障害」です。

原稿を提出してからもう大分の時が過ぎていたので完成を断念するに至ったのか?と案じておりましたが、水面下では順調に準備を進めてくださっていたようです。現在は、秋の日本臨床眼科学会に間に合わせようとしているようです。この記事の中で私はトンネル視野を説明しました。

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トンネルビジョン、または周辺視野の喪失は、視野が狭くなる現象です。以下は機能性視覚喪失の文脈でのトンネルビジョンに関するいくつかのポイントです:

  1. 症状

    • 周辺視野の縮小:トンネルビジョンの人は、周囲の環境の中心部分しか認識せず、周辺部分は暗くなったり存在しなくなったりします。
    • 横からの物体の認識が難しい:横から近づいてくる物体や人を気づくのが難しいことがあります。
    • 視野の制約:視野が狭い筒やトンネルを通して見ているように感じます。
  2. 原因

    • 心因性視覚障害
    • 緑内障:トンネルビジョンの最も一般的な原因は、緑内障による視神経の損傷です。
    • その他の潜在的な原因
      • 眼の脳卒中
      • 網膜剥離
      • 網膜色素変性症
  3. 診断

    • 臨床評価:眼科専門医は視野をマッピングする視野検査(ペリメトリー)を使用して、感度の低下した領域を特定します。
    • 機能性視覚喪失:構造的な眼の疾患が見つからない場合、機能性視覚喪失(FVL:functional visual loss)を考慮することがあります。FVLは有機的な原因なしに視覚症状が現れる状態です。
    • FVL(functional visual loss)のテスト
      • 単眼の視力喪失:単眼の視力喪失の患者には、ボトムアップ屈折検査(注1)良好な目のフォギングフォロプター検査(注2)などのテストが診断に役立ちます。
      • 両眼の視力喪失:両眼の視力喪失を主張する場合、鏡テスト中の眼の運動視覚刺激ドラムによる眼振の確認が役立ちます。

注1:

Bottom-up refraction は、機能性視覚喪失(FVL)の診断に使用される特定の技術です。以下に簡単に説明します:

  1. 目的

    • 単眼の視力喪失:片目の視力喪失を主張する患者の場合、bottom-up refraction は実際の屈折異常があるかどうかを判断するのに役立ちます。
    • 手順:良好な目をブラー化させるためにレンズを使用し、患者にアイチャートを読んでもらいます。主張された視力喪失が本物であれば、ブラー化された目で読むはずです。
  2. プロセス

    ブラー化:検査者は良好な目の前にブラー化レンズを配置します。アイチャートの読み取り:患者は両目を開いてアイチャートを読みます。観察:患者がブラー化された目で読んでいた場合には、得られる視力は下がるはずです。であればもう一方の目の主張された視力喪失は本物であることを示します。

  3. 注2:phoropter tests:

    Phoropter(または屈折計)は、眼科検査でよく使用される装置です。眼科医はこれを使って視力検査中に異なるレンズを用いて屈折を測定し、個々の屈折異常を特定し、眼鏡の処方箋を決定します Phoropter

トンネル視野:

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