眼科の一般外来で見られる眼瞼下垂の原因にはいくつかのものがあり、その比率は地域や診療施設によって異なることがありますが、一般的な傾向を以下に示します。
眼瞼下垂の主な原因とその比率
- 加齢性眼瞼下垂(腱膜性眼瞼下垂)
- 比率: 約60〜70%
- 説明: 加齢に伴い、上眼瞼挙筋腱膜が伸びたり、瞼板から外れたりすることで生じます。最も一般的な原因で、通常は両眼性です。
- 先天性または発達性眼瞼下垂
- 比率: 約10〜20%
- 説明: 生まれつき上眼瞼挙筋の発達が不十分なために生じます。通常は片眼性ですが、両眼性の場合もあります。
- 神経原性眼瞼下垂
- 比率: 約5〜10%
- 説明: 動眼神経麻痺やホルネル症候群など、神経の障害によって生じます。通常は片眼性です。
- 筋原性眼瞼下垂
- 比率: 約5%
- 説明: 重症筋無力症や筋ジストロフィーなど、筋肉の疾患によって生じます。これも通常は両眼性です。
- 外傷性眼瞼下垂
- 比率: 約5%
- 説明: 眼瞼やその周囲の外傷や手術後の合併症が原因となります。片眼性の場合が多いです。
- その他(腫瘍、炎症など)
- 比率: 約5%
- 説明: 眼瞼にできた腫瘍や、眼瞼の炎症性疾患が原因で生じることがあります。
患者さんへの説明
「眼瞼下垂は主に加齢が原因で、まぶたを持ち上げる筋肉の腱膜が緩むために起こります。生まれつきのものや神経・筋肉の病気が原因の場合もありますが、これらは少数です。外傷や手術が原因で起こることもあり、その他に腫瘍や炎症が関係することもあります。眼瞼下垂の原因によって治療法が異なるため、しっかりと検査して原因を特定することが重要です。」
眼瞼下垂の評価
眼瞼下垂は、上まぶたが正常な位置よりも下がり、瞳孔を部分的または完全に覆ってしまう状態で、視野が狭くなり生活に支障をきたすことがあります。眼瞼下垂の診断基準や評価法には以下が含まれます。
診断基準
- 瞳孔の覆い具合: 瞼が瞳孔を1mm以上覆っている場合、眼瞼下垂と診断されます。
- MRD1(): 瞳孔の中心と上まぶたの縁との距離が2mm以下の場合、眼瞼下垂が疑われます。
- Levator Function(上眼瞼挙筋の機能): 頭を後ろに傾け、前額筋を使わずに上まぶたの挙上運動を測定し、4mm未満であれば重度の眼瞼下垂とされます。
- 睫毛瞼裂距離: 上睫毛と下睫毛の間の距離が短縮している場合、眼瞼下垂が疑われます。
評価法
- 視野検査: 上まぶたの位置が視野をどの程度妨げているかを確認します。
- 写真撮影による比較: 手術前後のまぶたの位置を客観的に評価します。
- 動画記録: 目の開閉動作を記録し、上眼瞼挙筋の機能を評価します。
- 眼瞼反転検査: まぶたを裏返し、内側の構造異常を確認します。
これらの診断基準と評価法に基づいて、患者さんの症状を正確に把握し、治療方針を決定します。
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