神経眼科

[No.3507] ビジュアルスノウ:Dr. Owen White によるQ&A 4

2025年4月23日に公開されたオーストラリアで診療しているホワイト医師の動画の要旨を、ビジュアルスノウ症候群(Visual Snow Syndrome: VSS)に関心を持つ患者や医療従事者に向けた情報として転送発信いたします。このシリーズ動画は早くも4報目です。


【要旨】ビジュアルスノウ症候群(VSS)に関する最新の話題と啓発活動

0:00–0:08 ■ 導入

本動画では、VSS(ビジュアルスノウ症候群)に関する最新の研究、治療支援法、社会的認知の動きについて、専門家のインタビュー形式で紹介されています。


0:08–5:49 ■ Dr. Sui Wongによるマインドフルネス認知療法MBCTと脳画像研究について

視覚的ノイズを常時感じるVSS患者に対して、マインドフルネス認知療法(MBCT)が有効である可能性が注目されています。

Dr. Sui Wongの研究では、マインドフルネス認知療法(MBCT)がビジュアルスノウ症候群VSSに関連する神経活動を変化させる可能性
があることが、脳画像検査(fMRI)により示唆されました。(★原著にリンク)これはVSSが機能的な神経疾患であることを示す重要な証拠となります。


5:50–9:29 ■ VSS患者への対処法とコーピング手段

薬剤による治療法が確立していない中、患者が実践して効果を感じている対処法には以下が含まれます:

  • 神経可塑性を意識した視覚療法

  • 認知行動療法(CBT)やマインドフルネス認知療法(MBCT):(清澤注、私は臨床心理士を月に一度招聘してカウンセリングの用意をしています、小野木心理士のセッションでは認知行動療法などを紹介しています。)

  • 光刺激回避(ブルーライトカットなど)(清澤注:私はエッシェンバッハ社のオーバーグラス型の遮光眼鏡を紹介しています)

  • ストレス管理と十分な睡眠の確保(清澤注:セスディーテストで鬱傾向のある患者さんには鬱症の診断名に基づいて抑肝散加陳皮半夏の処方も考えています。)


9:30–10:34 ■ 誤解されやすいVSSの実態

VSSは「単なる目の問題」ではなく、視覚情報処理の神経系に関わる障害です。

その症状(例:静電ノイズのような視野、残像、光過敏、耳鳴りなど)は実在する神経疾患の一部であり、精神的な問題に矮小化されがちな誤解を解く必要があります。


10:37–12:12 ■ ICDコード取得に向けた取り組み

Sierra Domb氏(Visual Snow Initiative創設者)、Dr. Peter Goadsby(頭痛学の権威)とともに、VSSが国際疾病分類(ICD)に独自コードを持つための啓発活動が行われました。

その結果、初めてICDコード(R48.8の下位分類など)が付与され、国際的な認知が一歩前進しました。


12:14–14:35 ■ ICDコード取得の意味と影響

VSSがICDコードを得たことにより:

  • 医師は診断名として明確に記載可能

  • 研究者は臨床研究の被験者登録や保険統計分析が容易に

  • 患者は疾患の「実在性」を社会的に認識されやすくなり、治療・支援への理解が深まる


▼関連リンク


このような動きは、眼科医が神経眼科的な視点からVSS患者に寄り添う上でも重要な進展です。視野異常の訴えが「眼科的異常なし」と判断されても、VSSという診断枠の存在を伝えることが、患者の安心や治療導入のきっかけになります。

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