神経眼科

[No.4410] パリー・ロンベルク症候群(Parry–Romberg syndrome)と目の症状について

パリー・ロンベルク症候群と目の症状について

パリー・ロンベルク症候群は、顔の片側が少しずつ痩せていく比較的まれな病気です。多くの場合、小児期から思春期にかけて始まり、数年かけてゆっくり進行したあと、自然に落ち着くことが多いとされています。見た目の変化が目立つ病気として知られていますが、実は眼科とも深く関係しており、目にさまざまな影響が出ることがあります。

この病気でまず気づかれやすいのは、片側の目がくぼんで見えることです。これは眼球そのものが小さくなるわけではなく、目の周囲の脂肪や筋肉が痩せることで、目が奥に引っ込んだように見えるためです。これを「眼球陥凹」と呼びます。その結果、左右の目の大きさが違って見えたり、まぶたの開き方に差が出たりすることがあります。また、白目が目立つように見えたり、視線がずれて見えると感じる方もいます。

視力そのものは保たれることが多いのですが、病気の経過中に目の内部に炎症が起こる場合があります。代表的なのが「ぶどう膜炎」で、目の充血、かすみ、まぶしさ、痛みなどの症状が現れることがあります。こうした炎症が長く続くと、白内障や緑内障といった別の目の病気を合併することがあり、注意が必要です。まれではありますが、網膜や視神経に影響が及び、視野が狭くなったり、視力が低下したりする例も報告されています。

眼科で行う検査としては、視力検査や眼圧検査、細隙灯顕微鏡検査などを行い、目の表面や内部に炎症がないかを詳しく調べます。必要に応じて眼底検査やOCT検査を行い、網膜や視神経の状態を確認します。また、顔面の萎縮の程度や広がりを評価するために、CTやMRIといった画像検査が行われることもあります。これらの検査は、眼科だけでなく皮膚科や神経内科と連携しながら進められることが一般的です。

診断は、顔の片側だけが萎縮するという特徴的な所見をもとに、他の病気を除外しながら総合的に行われます。血液検査で必ず異常が見つかるわけではないため、診断に時間がかかることも少なくありません。眼科では、目の症状がこの病気に関連したものかどうかを見極め、経過観察でよいのか、治療が必要なのかを判断します。

治療については、病気そのものの進行を確実に止める方法は、現時点では確立していません。ただし、活動期に炎症が強い場合には、ステロイドなどの抗炎症治療が行われることがあります。目に炎症がある場合は点眼治療を中心に行い、必要に応じて内服治療を併用します。また、顔の左右差や眼のくぼみが目立つ場合には、成長が落ち着き、病状が安定した段階で形成外科的な治療が検討されることもあります。

パリー・ロンベルク症候群は命に関わる病気ではありませんが、見た目の変化や目の不調が、日常生活や気持ちの面に影響を与えることがあります。眼科として大切なのは、視力や視野を守ること、そして炎症や合併症を早い段階で見つけて対処することです。顔の変化だけでなく、目の違和感や見え方の変化に気づいた場合には、早めに眼科を受診し、定期的なチェックを受けることが安心につながります。

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