神経眼科

[No.4401] パリー・ロンベルク症候群と目の症状 ― 顔の変化だけでなく、眼科的な注意も大切な病気 ―

パリー・ロンベルク症候群と目の症状

― 顔の変化だけでなく、眼科的な注意も大切な病気 ―

パリー・ロンベルク症候群(Parry–Romberg syndrome)は、主に顔の片側が徐々に痩せていく比較的まれな病気です。多くは小児期から思春期に発症し、数年かけてゆっくり進行したのち、自然に落ち着くことが多いとされています。顔の左右差が目立つ病気として知られていますが、実は目にもさまざまな変化が起こり得るため、眼科との関わりも深い疾患です。

顔と目に現れる特徴的な変化

この病気でまず気づかれやすいのは、片側の目がくぼんで見えることです。これは眼球そのものが小さくなるのではなく、眼の周囲の脂肪や筋肉が萎縮することで、眼球が奥に引っ込んだように見えるためで、「眼球陥凹」と呼ばれます。その結果、左右の目の大きさが違って見えたり、まぶたの開き方に差が出たりします。白目が目立つ、視線がずれて見えるといった見た目の変化を訴えられることもあります。

視力は保たれていても注意が必要な眼の合併症

多くの場合、視力そのものは保たれるとされていますが、病気の経過中に目の内部に炎症が起こることがあります。代表的なのがぶどう膜炎で、充血、かすみ、まぶしさ、痛みなどの症状を自覚することがあります。

炎症が長引くと、白内障や緑内障といった合併症につながることもあり、定期的な眼科フォローが重要です。頻度は高くありませんが、網膜や視神経に影響が及び、視野異常や視力低下をきたす例も報告されています。

原因はまだ完全には解明されていない

パリー・ロンベルク症候群の明確な原因は、現在も分かっていません。自己免疫の異常、神経の炎症、血流障害などが関与している可能性が考えられていますが、いずれも決定的ではありません。そのため、血液検査で特有の異常が見つからないことも多く、診断までに時間がかかる場合があります。

眼科で行う検査と他科との連携

眼科では、視力検査、眼圧検査、細隙灯顕微鏡検査を行い、目の表面や内部に炎症がないかを確認します。必要に応じて、**眼底検査やOCT(光干渉断層計)**を用いて、網膜や視神経の状態を詳しく調べます。

また、顔面の萎縮の範囲や程度を評価するため、CTやMRIなどの画像検査が行われることもあります。これらは眼科単独ではなく、皮膚科や神経内科と連携して進められることが一般的です。

治療の考え方

現時点では、病気そのものの進行を確実に止める治療法は確立していません。ただし、活動期に炎症が強い場合には、ステロイドなどの抗炎症治療が行われることがあります。眼の炎症に対しては、点眼治療を中心に、必要に応じて内服治療を併用します。

顔面の左右差や眼球陥凹が目立つ場合には、成長が終了し、病状が安定した段階で、形成外科的治療が検討されることもあります。

眼科から大切にしたいメッセージ

パリー・ロンベルク症候群は命に関わる病気ではありませんが、見た目の変化や目の不調が生活の質に影響することがあります。眼科として最も重要なのは、視力や視野を守ること、そして炎症や合併症を早期に見つけて適切に対応することです。

顔の変化だけでなく、目の違和感、見え方の変化、まぶしさなどがあれば、早めに眼科を受診し、定期的なチェックを続けることが安心につながります

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