神経眼科

[No.1421] 神経眼科 臨床のために 第4版の序:清澤源弘

神経眼科 臨床のために 第4版 のゲラ読みをが終わり、今回の主な著者である江本博文先生に私が気づいた点をお伝えしました。

ゲラ校正は、研究者仲間では校正(後世)恐るべしと言われていました(桑島治三郎先生の教えです。)。しかし、これは出版されてからでは修正できないという単なる駄洒落でした。その原意は:こうせい【後生】 畏(おそ)るべし:という論語の言葉でした。若い後輩は今後どう成長するか予測できないのだから、畏敬の念をもって接遇すべきだという孔子の言葉でした。

第4版の序(これはまだ下書きです)

今回、江本博文博士の手で「神経眼科臨床のために」第4版が改定された。まことに喜ばしい。

本書の最初の著者である藤野貞先生は、機械に頼らない神経眼科臨床を唱えられた。そして、彼はこの書籍の第1版を1991年に著し、10年後の2001年に大分厚くなった第2版を上程した。2005年に藤野先生は逝去され、この本が我々東京医科歯科大学の神経眼科グループに残された。2011年、我々は当時大学院生であった江本博文氏を中心に分担して第3版の原稿を募った。

その後、更に10余年を経て、医学書院から改版のお話をいただいた。私は大学を離れて久しく、前版も江本博文氏が中心になってまとめたことからも、今回の改訂も江本博士にと対応した。それから約2年を経て今回、第4版の原稿を見せていただくことができた。

今回の原稿は、江本氏が一人で改定を担当している。これは最近の医学書では稀なことで、一人の著者の持つ神経眼科に対する哲学がそこかしこに現れている。

最初のページから目を通してみると、藤野先生が自ら描かれた線画を生かしながら、まずこの10年で学会が様変わりした部分が大幅に改訂された。それは、視神経炎の部分、眼瞼痙攣、そしてビジュアルスノウその他である。この期間に神経眼科学が変貌した部分は見事に一新されている。

診断のフローチャートを付記することがこの原稿でも大幅に取り入れられた。また新たな診断の鑑別表も多用されている。

今回の原稿では、引用文献が前版と大幅に入れ替えられている。全体が厚くなるのを避けるため、文献数は抑え気味である。教科書における引用文献は原著論文の場合とは異なり、さらに詳しく調べたい場合に何を読むか?を指し示すのが目的である。そのためには新しい年代の物であることとともに、大学を離れた医師にはネット検索ができることも重要である。また、藤野先生は日本語文献を優先されていたが、自動翻訳も改善されたので英文文献も増やされてよかったと思う。

最後に、この本の以前からの最大の特徴であった「ポケットに入る神経眼科検査用器具とその使用法」が残された。この本を手にする方には、ぜひ微細な視野の特徴の見方や特徴的な眼球運動の見方を、もう一度確かめて戴きたいと思う。そうすると視野検査や眼球運動の検査結果が、更に正しく確認できると思われる。

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