エムポックス患者の眼病変の特徴と管理について「日本の眼科」誌の海外医学情報のコーナーで八代成子先生が紹介している。聞くことのない病名と思ったが、実はエムポックスというのはサル痘のことであった。原著[Characteristics and management of ocular involvement in individuals with monkeypox disease]Pazos Mほか、Ophthalmology 2023; 130 : 655-658. サル痘は天然痘や麻疹、風疹などに近いウイルス性感染症で、この患者は同性愛者やエイズ感染者に多いようだ。眼症状もそれらに似ているようだ。
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- エムポックスとは:アフリカの一部で流行する人獣共通感染症で,2022年に国際的な再興感染を起こした。眼感染症はまれだが重症化する可能性がある。
- 眼病変の種類と治療法:結膜炎,眼瞼炎,角膜潰瘍,角膜浮腫,眼窩蜂窩織炎などがみられる。重症例にはテコビリマットと副腎皮質ステロイドを用いる。
- 研究の対象と結果:バルセロナ病院でmpoxと診断された880例のうち,眼症状を有する9例(1%)をフォローアップした。テコビリマットで治療された5例は良好な経過を示した。
- 注:テコビリマットとは サル痘ウイルスは天然痘ウイルスと同様にオルソポックス属に分類されるが、現在流行しているサル痘は、自己限定的な疾患で、症状の持続は一般に2~4週間。しかし、約13%の患者が入院を要することから、有効な治療の必要性は高い。テコビリマットは、ウイルス粒子の構築に必要で、変異が少ない、エンベロープp37蛋白質を阻害する薬剤。In vitroでは、天然痘とサル痘に対する活性が見られており、健康なボランティアを対象とする試験では、安全性のプロファイルは好ましいことが示されている。
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