全身病と眼

[No.2449] 嗅覚障害?、心因性嗅覚障害?

清澤のコメント;嗅覚障害と聞きますと、コロナ感染が日本で広がり始めたころに、野球選手が嗅覚障害をきっかけに新型コロナ感染を発見されたという報道に驚いたことを思い出しました。高田郁の「澪の料理帖」6巻を読んでいましたら、主人公が失恋の後で匂いも味もわからなくなるという場面が出てきました。私たち眼科医は小中学生において心因性視覚障害を見ることがしばしばありますが、この小説の事例は心因性の嗅覚障害だったという事のようです。嗅覚障害について調べてみました。

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Anosmia」は、嗅覚の喪失を指します。嗅覚障害は主に嗅覚系に関連していますが、目の健康にも影響を及ぼすことがあります。

Anosmia(嗅覚障害): 概要

  • 原因

    • 嗅覚障害はさまざまな要因により引き起こされます:
      • 鼻閉塞:炎症、ポリープ、構造的異常による鼻通路の閉塞が、嗅覚受容体への臭い分子の流れを妨げます。
      • ウイルス感染:風邪やCOVID-19などのウイルスが嗅覚上皮に損傷を与えることがあります。
      • 頭部外傷:頭部または鼻の領域への外傷が嗅神経に影響を及ぼす可能性があります。
      • 神経疾患:特定の神経障害(例:パーキンソン病、アルツハイマー病)が嗅覚障害を引き起こすことがあります。
      • 薬物:一部の薬剤(例:鼻内亜鉛製剤)が嗅覚障害の原因となることがあります。
      • 加齢:嗅覚機能の徐々の低下は年齢とともに一般的です。
      • 心理的要因:ストレス、不安、うつ症状が嗅覚に影響を及ぼすことがあります。
    • 心因性嗅覚障害:心理的要因によるもので、通常は可逆的です。
  • 症状

    • 嗅覚の喪失:患者は臭いを感じることができないと述べます。
    • 味覚の喪失:嗅覚障害は味覚にも影響を及ぼすことがあります。
    • 生活の質の低下:嗅覚の障害は日常生活、食欲、安全性(ガス漏れや腐った食品の検出ができない)に影響を及ぼすことがあります。
  • 経過

    • 嗅覚障害は急性(突然の発症)または慢性(持続的)のいずれかです。
    • 回復は原因に依存します。一部の症例は自然に回復する一方、他の症例は持続的な嗅覚障害を経験します。
  • 治療

    • 基本的な原因を取り扱うことが重要です:
      • 鼻脱充血薬:鼻閉塞に関連する場合に使用します。
      • ステロイド:鼻内または全身的なステロイドは炎症を軽減するのに役立ちます。
      • 嗅覚トレーニング:特定の香り(例:精油)を積極的に嗅いで嗅覚回復を図ります。(末尾参照)
      •  

        アロマで嗅覚トレーニングのやり方(出てきたので採録しますが、眼科医の清澤がこのトレーニングを勧めているわけではありません。耳鼻科医にお聞きください。)

        1. 用意するもの:

          • 4種のアロマ(精油): ユーカリ、クローブ、レモン、ラベンダー 各1ml
          • 広口遮光ビン 4個
          • コットン 4枚
          • シール 4枚
        2. 準備:

          • 広口遮光ビンにコットンを入れ、コットンに染み込ませるように精油を1ml(約20滴)入れます。
          • 精油名を書いたシールを広口遮光ビンに貼ります。
          • 4種類の精油でそれぞれ作ります。
        3. トレーニングのやり方:

          • 蓋を開けて、鼻から3cmほど離した位置でビンを持ちます。
          • 口を閉じて、鼻からくんくん小さく嗅ぎ、10秒間続けます。深呼吸をしないようにしましょう。小さく鼻の中に香りを広げるイメージです。
          • 嗅ぎ終わったら、ビンの蓋を締めて、1分間ほどリラックスして休みます。
          • 続けて同じことを繰り返して、計4種類の香りを嗅ぎます。
          • これを朝晩2回、12週間続けます。

        ポイント:

        • 嗅いでいる時は、何のアロマを嗅いでいるのかを意識しましょう。
        • 1種類につき10秒間嗅ぎ、その都度1分ほど休みます。
        • 嗅ぐ時のアロマの順番は問いません(どの香りから嗅いでもOK)。
        • 広口のビンを使うと香りを良く感じます。また、保存性から遮光ビンが適しています。
        • 4種のアロマ(精油)は、ユーカリ(樹脂臭)、クローブ(薬味臭)、レモン(果実香)、ラベンダー(花香)を使用することがポイントです。

        これらのアロマを使った嗅覚トレーニングを継続することで、失われた嗅覚の回復と強化につながります。毎日コツコツと取り組んでみてください! 

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