全身病と眼

[No.2809] 光過敏症関連片頭痛患者における視床内側の過活動

先の私の共著論文の原著に対する「単純な言葉での抄録」というものがネットに掲載されたようです。このページ内容を日本語訳で再録します。

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題名: 光過敏症関連片頭痛患者における視床内側の過活動

著者: 鈴木幸久 MD, PhD, 清澤源弘 MD, PhD, 若倉雅登 MD, PhD, 石井健二 MD

出版履歴: 初版発行日: 202481

メインファインディング: 視床(脳の灰白質構造)の内部が、片頭痛患者における持続的な光過敏症(絶え間ないまぶしさ)の発生に関連している可能性があります。

動機: 片頭痛発作はしばしば光過敏症を伴います。一部の片頭痛患者は、頭痛のない間隔期でも持続的なまぶしさや光過敏症を経験します。持続的な光過敏症を持つ患者は、日常生活でさまざまな不便を感じます。私たちは、光過敏症を持つ片頭痛患者の脳の機能的変化を調査することを目的としました。

方法: 光過敏症を持つ各患者の日常生活における光過敏症の程度をアンケートで調査しました。また、照明の明るさを徐々に増加させることで光過敏症の閾値を推定しました。光過敏症のある片頭痛患者とない片頭痛患者、および健康な参加者の脳活動をポジトロン断層撮影法を用いて測定しました。さらに、日常生活における光過敏症の程度や光過敏症の閾値と脳活動の関係を調査しました。

結果: 健康なグループと比較して、光過敏症のある片頭痛患者とない片頭痛患者の両方で視床の両側に活動の増加が見られました。さらに、持続的な光過敏症を持つ片頭痛患者では、光過敏症のない患者よりも視床の内部がより活発でした。視床の活動と日常生活における光過敏症の程度との間に正の相関が見られました。また、視床の活動と光過敏症の閾値との間にも相関が見られました。

意味: 光過敏症のある片頭痛患者とない片頭痛患者の両方で視床の活動が増加していることがわかりました。視床の内部は、片頭痛患者における持続的な光過敏症の発生に関連している可能性があります。光過敏症の程度と光過敏症の閾値は、片頭痛患者の脳活動に影響を与えると考えられています。

著者貢献: 研究の概念と設計: 鈴木幸久と石井健二。データの取得: 鈴木幸久と石井健二。データの分析と解釈: 鈴木幸久、清澤源弘、石井健二。原稿の作成: 鈴木幸久。知的内容の修正: 鈴木幸久と石井健二。完成した原稿の最終承認: 鈴木幸久、清澤源弘、若倉雅登、石井健二。

謝辞: すべての参加者に時間を割いていただき、東京老人総合研究所のスタッフにフルオロデオキシグルコースの製造とポジトロン断層撮影法の参加者の支援をしていただいたことに感謝します。

資金情報: この研究には資金提供や支援はありません。

利益相反声明: 鈴木幸久、清澤源弘、若倉雅登、石井健二は利益相反を宣言していません。

羞明関連片頭痛患者における内側視床の過活動: 自著新論文紹介

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