アメリカの中高年層における生命維持に不可欠な8つの要素と主要な眼疾患との関連性
心血管の健康と眼の病気の関係
最近の研究で、心血管の健康(Cardiovascular Health:CVH)と眼疾患の間に密接な関係があることが明らかになりました。この研究では、アメリカ心臓協会(AHA)が2022年に発表した「Life’s Essential 8(LE8)」を活用し、中高年層の健康状態と眼の病気との関連性を調査しました。LE8は、以下の8つの要素から構成されます。
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食事の質
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身体活動
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ニコチン曝露(喫煙や受動喫煙)
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睡眠の質
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体重管理
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血糖コントロール
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血中脂質管理
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血圧管理
研究の概要
この研究は、アメリカの全国健康栄養調査(NHANES)に基づき、40歳以上の4,146人を対象に行われました。参加者の心血管の健康状態はLE8アルゴリズムを用いて評価され、眼疾患との関係を分析しました。
研究結果のポイント
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LE8スコアが低い(健康状態が悪い)と、眼疾患のリスクが2倍以上に上昇
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すべての眼疾患:オッズ比(OR)2.03(95%信頼区間:1.39-2.96)
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網膜症:OR 2.88(1.89-4.41)
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糖尿病性網膜症:OR 10.23(3.11-33.61)
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緑内障:OR 2.76(1.47-5.21)
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白内障:LE8の行動スコアが低いと1.45倍のリスク上昇
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特に糖尿病性網膜症のリスクが10倍以上に増加することが確認され、心血管の健康が視力に大きく影響を与えることが示されました。
なぜ心血管の健康が眼の病気に影響するのか?
眼の血管は非常に細かく、心血管疾患の影響を受けやすいと考えられています。以下の要因が眼疾患の発症と関連しています。
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高血糖・高血圧:網膜の血管にダメージを与え、網膜症や緑内障のリスクを高める。
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酸化ストレスと慢性炎症:白内障や加齢黄斑変性症(AMD)を引き起こしやすくなる。
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動脈硬化と血流の低下:眼の微小血管が詰まりやすくなり、視神経への影響が出る。
心血管の健康を改善して眼疾患を予防する
この研究の結果から、LE8のスコアを高めることが、眼疾患の予防につながると考えられます。
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バランスの取れた食事を心がける(野菜・果物・魚を多く摂取)
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適度な運動をする(1日30分以上のウォーキング)
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禁煙・受動喫煙を避ける
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睡眠の質を改善する(7時間以上の睡眠を確保)
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適正体重を維持する
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血糖・血圧・コレステロールを管理する(定期的な健康診断を受ける)
まとめ
アメリカの研究では、心血管の健康が眼の健康にも大きく関わることが明らかになりました。特に、糖尿病性網膜症のリスクが大幅に上昇するため、生活習慣の改善が視力を守るカギとなります。日頃の健康管理を意識しながら、定期的に眼科検診を受けることをおすすめします。
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