【眼科にも関係する?】新型コロナ後遺症とその眼の症状について
2020年から世界中に広がった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。現在ではワクチンや治療法の進歩で重症化は抑えられていますが、感染後の「後遺症」が問題となっています。ここでは、眼科に関連するコロナ後遺症について、わかりやすくご説明します。また、コロナワクチン投与後の不調を訴えた方もおられましたのでそれに関しても追記します。
■ 新型コロナ後遺症とは?
世界保健機関(WHO)の定義では、感染から3か月経っても、ほかの病気では説明できない症状が2か月以上続く場合を「コロナ後遺症(Long COVID)」と呼びます。
日本国内の詳細なデータはまだ少ないですが、WHOの調査では感染者の約6%が何らかの後遺症を抱えるとされています。
■ 眼科で見られるコロナ後遺症の主な症状
コロナ後遺症として見られる眼の症状には、次のようなものがあります。
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ドライアイ(乾き目)
→ 涙の量や質の低下、まばたきの減少、神経障害などが関与していると考えられています。 -
霧視(かすみ目)や視力低下
→ 神経や網膜の微細な炎症による一時的な視力変化が疑われます。 -
羞明(まぶしさ)
→ 脳や視神経の過敏性が増している可能性があり、ドライアイとも関連します。 -
眼痛・眼精疲労
→ 長引く炎症や自律神経の乱れにより、目の奥の痛みや疲れが出る場合があります。 -
視神経炎や網膜血管炎(まれ)
→ 自己免疫反応により視神経や網膜が炎症を起こすことがあります。
■ どのように診断されるのか?
眼科では次のような検査で後遺症との関連を調べます。
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視力・眼圧・屈折検査
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スリットランプによる前眼部検査
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眼底検査・OCT(網膜断層撮影)
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視野検査(神経症状がある場合)
ウイルスそのものの影響というより、免疫反応や血流障害、神経過敏などが関与していることが多いため、症状と検査結果にズレがあることもあります。
■ 治療方法は?
多くの場合、対症療法が中心となります。
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ドライアイ: 人工涙液やヒアルロン酸点眼、涙点プラグ
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羞明: サングラス、遮光レンズ、点眼薬(抗炎症薬など)
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視神経炎: 必要に応じて神経内科と連携し、ステロイド治療などを行います
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生活指導: 睡眠、栄養、軽い運動による自律神経の安定も重要です
■ ワクチン接種後の眼症状にも注意
一部の方では、新型コロナワクチン接種後に眼の不調を訴えることがあります。報告例としては:
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眼の充血や違和感
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霧視、ドライアイ
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急性の視神経炎や網膜血管閉塞(極めてまれ)
これらは、免疫反応が一時的に強く出ることによる副反応と考えられています。たいていは数日で改善しますが、症状が強い、長引く場合は眼科受診をおすすめします。
■ まとめ:後遺症を疑ったら早めに相談を
新型コロナの感染後、あるいはワクチン接種後に「目がかすむ」「乾く」「まぶしい」などの症状が続く場合、気のせいとせずに一度眼科でご相談ください。
私も専門の神経眼科の知識と経験を生かして、これらの症状にも対応し、必要に応じて内科や神経内科と連携して診療にあたっています。
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