全身病と眼

[No.3580] 心房細動患者における抗凝固療法にもかかわらず発生する再発性脳卒中の残存リスク

心房細動患者における抗凝固療法にもかかわらず発生する再発性脳卒中の残存リスク

清澤のコメント:脳卒中は眼科においては半盲の原因としてしばしばみられものです。心房細動があると心房に生じた血栓が血流にのって脳に至り、脳卒中(脳梗塞)を引き起こすことがあります。眼科医としては、脳卒中後に生じた半盲を指摘し、抗凝固療法がおこなわれていることを認識するだけで、もう出来る事は終わったと思いがちです。しかし、心房細動の有る患者では抗凝固療法がおこなわれても相当数の脳梗塞再発がみられるということがこの報告では報じられています。この知見は眼科医にとっても重要なものです。

  ―――記事の要点――

JAMA Neurol. 2025521日オンライン公開。doi:10.1001/jamaneurol.2025.1337

心房細動患者における抗凝固療法にもかかわらず発生する再発性脳卒中の残存リスク

システマティックレビューとメタアナリシス

John J. McCabe, PhD ほか

心房細動(AF)は脳卒中の主要な原因の一つです。この病気において、抗凝固療法(OAC)は再発を防ぐために非常に重要です。しかし、最近の研究で明らかになったのは、最新の治療法を使ってもAF患者の脳卒中の再発リスクは依然として許容できないほど高いということです。この研究は、心房細動と関連する脳卒中後のリスクについて詳しく調査したシステマティックレビューとメタアナリシスを基にしています。

主な発見:

  • AF患者の年間脳卒中再発率は3.75%ですが、非介入観察研究ではランダム化臨床試験(RCT)と比較して2倍高い再発率が見られました。
  • 抗凝固療法にもかかわらず、年間7.20%の患者が再発性脳卒中を経験しました。

この結果は何を意味するのでしょうか? 現在の予防策では不十分であり、新しい治療方法を研究する必要があります。さらに、この患者集団における治療の優先順位を再考することが公衆衛生上重要です。

 

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