全身病と眼

[No.295] レクリングハウゼン病の虹彩小結節、ライシュノヂュール:とは

虹彩小結節 Lisch Nodules

ライシュノデュールは、レクリングハウ前病に特有な虹彩上の結節です。今日のニューイングランド医学雑誌にはそれが写真付きで掲載されています。子の結節はライシュ中村結節と日本人の名前でも呼ばれていたはずです。

ーーーー記事の翻訳採録ーーーー

R. Anguita and R. Veas  N Engl J Med 2022;386:47

神経線維腫症1型(フォンレクリングハウゼン病)の病歴を持つ40歳の男性が、毎年の屈折性眼科検査のために眼科クリニックに来院しました。彼は目の症状や視力の変化を報告しませんでした。各眼の前眼部の検査は、虹彩小結節と一致する複数の薄茶色の虹彩小結節を示した。虹彩小結節は、神経線維腫症1型の患者によく見られるメラニン細胞性過誤腫であり、その有病率と数は年齢とともに増加します。虹彩母斑は平坦であるか、縁がぼやけて最小限に隆起しているのとは異なり、虹彩小結節は虹彩の表面から隆起しており、境界が明確であり、複数発生します。それらは神経線維腫症1型の診断基準の一部であり、他の症状がほとんどない若い患者の診断を確立するのに役立つ可能性があります。虹彩小結節が眼科症状や合併症を引き起こすことは知られていないため、特別な治療は勧められませんでした。患者は、定期的な毎年の眼の検査と、学際的な神経線維腫症チームによるフォローアップを受け続けています。

Rodrigo Anguita、MB、BS、MD

Ricardo Veas、MB、BS、MD
Moorfields Eye Hospital、ロンドン、イギリス

ーーーー以前の清澤の記事からーーーー

 レクリングハウゼン病(von Recklinghausen disease)とその眼症状

薔薇新121, レクリングハウゼン病の主な症状とその診断方法。

多発性神経線維腫症は脳神経も含めて、全身の末梢神経や腹腔内の交感神経叢に小腫瘍が多発し、皮膚の色素沈着や脱失、カフェオレ斑点、ぶどう酒色母斑、皮下の有痛性結節が見られる。先天性異常で家族的に出現することもあり、骨や関節にも先天性異常を見ることが多い

カンスキー臨床眼科学によれば

神経線維腫症1型(NF-1,von Recklinghausen病)は神経組織の細胞増殖異常を主な特徴とする母斑症である。原因遺伝子は染色体17q11である。

1、遺伝型;常染色体優性、浸透度と表現型は一定していない。

2、特徴

1) 神経腫瘍:中枢神経系、脳神経、末梢神経、交感神経に好発する。

2)骨格低身長、軽度の大頭症、顔面半側萎縮、蝶形骨大翼の欠損などを示す

3)皮膚では:

カフェオレ斑(扁平で明褐色の斑点)生まれた年に発症し、小児期を通して大きくなり数も増す。

脇窩の雀卵斑、10歳前後に顕在化

軟性線維腫:有茎性の柔らかい小結節で、全身に広範に分布する。

色素沈着と過剰増殖による叢状神経線維腫を示す。

3、関連疾患としては:悪性腫瘍、高血圧、精神障害がある。

薔薇新102)レクリングハウゼン病の主な眼の症状。

4、眼症状には

1)一般的なものとして:
眼瞼神経線維腫、虹彩小結節(Lisch虹彩)

2)やや稀なものには:
視神経膠腫、ぶどう膜外反、緑内障

3)稀な眼症状では:
他の神経性眼窩腫瘍、蝶形骨・眼窩の脳ヘルニア、突出角膜神経(?)、虹彩の乳頭状化、脈絡膜母斑、脈絡膜黒色腫、網膜星細胞腫があげられている。

3、代表的な写真(準備中)

薔薇新94、参考になるHPのサイト
http://www.gfmer.ch/genetic_diseases_v2/gendis_detail_list.php?offset=60&cat3=211  ここには多くの皮膚の写真や病理標本の写真があります。
http://www.skinatlas.com/  Dubin博士の皮膚科図譜

薔薇新85、更なる検索
1)さて円錐角膜keratoconusとレクリングハウゼン病von Recklinghausen diseaseの掛け合わせは? なし

2)レクリングハウゼン病 X 角膜では

レクリングハウゼン病の角膜瀰漫性神経線維腫
Cornea. 2003 Jan;22(1):59-62.
A corneal diffuse neurofibroma as a manifestation of von recklinghausen disease. Sánchez-Huerta Vほか、メキシコからの報告です

3)その関連文献に次のものあり。
レクリングハウゼン病の眼症状;レイシュ結節が4例、眼球突出2例などレクリングハウゼン病11例での眼所見のまとめで、モロッコからのフランス語文献でした。
J Fr Ophtalmol. 1997;20(10):753-7.
Ophthalmological manifestations of Von Recklinghausen disease [Article in French] Benchekroun O他

 

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