上衣腫Ependymomaとその目の症状の関連を説明してください:
上衣腫は、中枢神経系(脳室や脊髄中心管周囲)に発生するグリア系腫瘍で、特に小児では第4脳室周辺に多く発生し、成人では脊髄に多い傾向があります。以下にその症状と、特に眼科的に注意すべき症状について説明します。
- 一般的な症状(発生部位により異なる)
◉ 小児に多い「後頭蓋窩(第4脳室周囲)」の腫瘍の場合:
- 頭蓋内圧亢進症状
・頭痛(特に朝方)
・嘔吐
・意識障害
・乳児では頭囲拡大や大泉門膨隆 - 小脳圧迫症状
・歩行障害、ふらつき(運動失調)
・手足の協調運動障害(失調性運動) - 第4脳室閉塞による水頭症
- 眼症状として現れる可能性のある所見
① うっ血乳頭(頭蓋内圧亢進に伴う)
- 眼底検査で視神経乳頭の腫脹
- 視力低下や視野障害を呈する場合あり
- 小児では自覚症状乏しいが、眼振・羞明・視線回避などで察知されることあり
② 動眼神経麻痺
- 中脳や橋周辺への腫瘍進展や圧迫で
- 眼瞼下垂、複視、外斜視、散瞳などが出現
③ 注視麻痺(特に上向き注視障害)
- Parinaud症候群:松果体部に発生した腫瘍が上丘を圧迫すると出現(上衣腫では比較的稀だが可能性あり)
④ 眼振
- 小脳圧迫、脳幹周囲病変による
- 特に水平性または回旋性眼振
⑤ その他:
- 視神経萎縮:うっ血乳頭が慢性化し、二次的に視神経障害
- 複視:脳幹内の外転神経核などへの圧迫によっても出現
- まとめ(眼科医としての注意点)
上衣腫はその発生部位により多様な神経症状を呈し、眼科的にも以下のような症状が出現します:
症状 |
原因 |
眼科的対応 |
うっ血乳頭 |
頭蓋内圧亢進 |
眼底検査で早期発見可能 |
眼振・複視 |
脳幹圧迫 |
眼球運動検査、MRI精査を考慮 |
視力低下・視野異常 |
視神経障害 |
VEPやOCTでの評価も有用 |
📝備考
- 小児では特に「見えにくい」「視線が合わない」などの訴えから脳腫瘍が見つかることもあります。
- 頭蓋内圧亢進による視神経の変化を早期に察知できるのは眼科医です。眼底検査は重要な初期スクリーニング手段となります。
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