全身病と眼

[No.3615] 閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)が加齢黄斑変性症(AMD)の発症リスクや進行に関連している

睡眠と目の健康には深い関係がある⁉

睡眠障害が目の健康に悪影響を与えることをご存知でしょうか?最近の研究で、閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)が加齢黄斑変性症(AMD)の発症リスクや進行に関連していることが明らかになりました。AMDは、高齢者における主要な視力喪失の原因の一つであり、黄斑出血や視力低下を引き起こします。この研究により、OSAを患っている人はAMDのリスクが非患者に比べて大幅に高いことが示されています。

具体的な統計としては、OSA患者は非滲出性AMDの発症リスクがハザード比2.64(95%信頼区間:2.37〜2.96)であり、滲出性AMDのリスクもハザード比2.48(95%信頼区間:1.99〜3.11)という結果でした。また、治療が必要となるリスクについては、抗VEGF療法が必要となる可能性がハザード比2.85(95%信頼区間:2.26〜3.59)と著しく高いことが分かっています。

さらに、OSA患者における非進行性AMDの進行リスクも注目されており、地図状萎縮の発症リスクはハザード比7.00(95%信頼区間:4.47〜11.0)、滲出性AMDの進行リスクはハザード比2.87(95%信頼区間:2.37〜3.48)、抗VEGF注射が必要となるリスクはハザード比4.72(95%信頼区間:3.59〜6.22)という結果が得られました。この研究に基づき、OSAの治療が視力の維持や病気の進行予防に繋がる可能性が示唆されています。

この結果を踏まえると、質の高い睡眠を維持することが目の健康において非常に重要であることがわかります。OSAを早期発見し適切に治療することで、AMDのリスクを軽減し、目の健康を保つことが可能です。眼科医として、患者さんに睡眠の質を高める意識を持ってもらうよう働きかけることが大切です。また、定期的な検診を受けることで、早期に眼病を発見し適切な治療を行える環境を整えることも必要です。 

健康な睡眠は健康な目の基盤となる、と言っても過言ではありません。日々の生活の中で、自分の睡眠習慣を見直し、より良い睡眠環境を整えることが、目の健康維持への一歩となります。

Association between Obstructive Sleep Apnea and Age-related Macular Degeneration Development and Progression

Ahmed M. Alshaikhsalama, BS

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