視力低下

[No.93] 近視性黄斑症の分類とは

日本眼科学会に光干渉断層計増に基づいた近視性黄斑症の分類(方 雨信)が掲載された。その抄録は以下のようなものであるが、その代表的な病変を認識しながら日常の診療を行うことには大きな意味があると思われる。この文章の中にはophthalmology 126:1018-1032,2019からの近視性黄斑変性症の代表的な病変の写真が採録されている。これが上の図である。正常からA:紋理眼底(tessellated hundus 左上),B:乳頭周囲のびまん性脈絡膜萎縮(PDCA peripapillary diffuse choroidal atrophy 上中央),C:黄斑のびまん性脈絡膜萎縮(MDCA macular diffuse choroidal atrophy)。さらにD: 斑状萎縮 (patchyatrophy)、E: 脈絡膜新生血管関連黄斑萎縮choroidal neovascularization (CNV)-related macular atrophy. F: 斑状萎縮関連黄斑萎縮Patchy atrophy-related MA (macular atrophy)へと進行する。 

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令和2年度日本眼科学会学術奨励賞 受賞論文総説

光干渉断層計像に基づいた近視性黄斑症の分類

方 雨新1)2)
1)東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科眼科学
2)Beijing Tongren Eye Center, Beijing Tongren Hospital, Capital Medical University, Beijing Key Laboratory of Ophthalmology & Visual Sciences

病的近視は,世界中,特に東アジア諸国において,不可逆的な視覚障害の主な原因となっている.病的近視のメタアナリシス(META-PM)に依拠した分類は,近視性黄斑症の眼底写真に基づく評価の国際的な基準となっている.ただし,びまん性萎縮の診断は,その黄色がかった色調の変化のみに基づいており,近視性牽引黄斑症(MTM)やドーム型黄斑(DSM)などの他の病変は含まれていない.近視性黄斑症を評価および分類するための客観的な方法として,光干渉断層計(OCT)を使用できるかどうかを検討することは重要である.我々は強度近視患者884人1,487眼において,中心窩下および中心窩から鼻側,耳側,上側および下側に3 mmの部位における脈絡膜厚(CT)を解析した.近視性黄斑症の重症度が増すにつれ,すべての部位でCTが正常から紋理眼底,乳頭周囲のびまん性脈絡膜萎縮(PDCA),および黄斑のびまん性脈絡膜萎縮(MDCA)へと減少することが分かった.しかしながら,MDCAと斑状萎縮の眼でCTに有意差はなかった.MDCAから斑状萎縮への進行には,Bruch膜孔の発達など,脈絡膜の菲薄化以外のさらなる要因が重要な役割を果たしている可能性がある.我々の研究により,中心窩下CTは,1歳あたり1.75 μm,眼軸長1 mmあたり9.87 μm減少することが分かった.脈絡膜はMDCAおよび斑状萎縮の眼で最も薄く,脈絡膜新生血管(CNV)関連の黄斑萎縮が発症しない限り,その極端な薄さで維持された.また,中心窩下CTは,特に病的近視眼やCNVのない眼において,視力の予測因子ではないことも分かった.レシーバー動作特性曲線により,PDCAを予測するための最適なCTは鼻側で56.5 μm,MDCAを予測するための最適なCTは中心窩下で62 μmであると決定した.病的近視におけるこれらのOCT所見を組み合わせることで,近視性黄斑症のOCT所見に基づいた分類を確立することができると考える.(日眼会誌125:1035-1047,2021)

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