東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科眼科分野の大野京子教授と同大学院のYining Wangの研究グループは、失明リスクのある「強度近視」の患者の将来の視力低下や視力障害リスクを高い精度で予測する方法を人工知能(AI)によって開発したと発表した。これにより失明リスクの高い人の早期発見・早期治療が可能になることが期待されるという。
研究結果を掲載した「JAMA Ophthalmology」(米国医学会の眼科雑誌)によると、研究には同大大学院のほか、中国・北京の病院、シンガポール国立眼科センターなどの研究者が参加した国際協力研究だ。論文は、「近視の長期視力を予測するための機械学習モデル」として報告された。
研究は強度近視の患者967人を対象に、3年並びに5年後の最良の矯正視力を予測するための回帰モデルが構築され、正確な予測性能を示したという。
強度近視は、視力低下などを引き起こすばかりでなく、網膜剥離や緑内障などの合併症を発症して失明につながることもあるとされる。近視人口は近年、世界中で爆発的に増えていて、海外の研究グループによると2050年までには全世界の人口の半分が近視となり、強度近視は約1割を占めるまで増加すると予測されている。
このため、強度近視の診察と治療技術の進化は世界中の眼科専門医の関心事となっている。
「自由が丘清澤眼科」(東京・目黒区)の清澤源弘院長によれば、「この研究は近視性黄斑変性が主な分析対象となっている。このような強度近視の研究が国際的な研究で行われることは素晴らしい。現在、近視進行予防治療には太陽光暴露時間を増やす、低濃度アトロピン点眼を行う、夜間にコンタクトレンズをのせるオルソケラトロジーなどが提唱されているが、今後はそれらの効果評価にも用いられるだろう」と言う。
詳細はこちらにも:
コメント