近視・強度近視

[No.2597] 近視の低濃度アトロピン点眼治療の説明

新学年にが始まり、近視等での視力低下を学校で指摘されて眼科を訪れる患者さんが増えてきました。近視の低濃度アトロピン点眼治療の説明をします。

近視の低濃度アトロピン点眼治療
低濃度アトロピン点眼治療は、近視の進行を抑制するために用いられる効果的な方法です。眼科医の裁量でこの方法を使用することは認められていますが、現在の保険診療では認められていないので薬局では無く、医師による個人輸入をした薬剤を、医院等で購入していただく必要があります。
低濃度アトロピン点眼薬とは?
低濃度アトロピン点眼薬(商品名がミオピン)は、眼軸長の伸びを抑えて近視の進行を防ぐために使用されます。 通常、6歳から17歳までの児童を対象とし、軽度から中程度の近視(-1.00Dから-6.00D)の方々に適用されます2. この治療法は、眼軸長の伸びを抑制することで、将来的な疾患リスクを軽減する目的で行われます。
適応
低濃度アトロピン点眼治療の適応は、個々の症例によって異なりますが、基本的には以下の方々に適しています:
• 近視が進行して視力が低下しているお子様(6歳から15歳くらい)
• 軽度または中程度の近視の方々(-6.00Dまで)
使用方法
• 1日1回、就寝前に1滴点眼してください.
• 点眼1本は1ヵ月で使い切りです.
期間
治療は最低でも2年以上継続することを推奨しています。可能なら思春期終了まで(17~18歳)の継続が望ましいです.
低濃度アトロピン点眼治療は、戸外活動の奨励、(⇒リンク)オルソケラトロジーなど他の方法と併用することで更なる効果が期待できます。 当クリニックでは、この治療法を積極的に行っておりますので、ご興味があればお気軽にご相談ください。

※現在、調節緊張症に対してミドリンMを処方されている方には低濃度アトロピンとの併用は不適切です。医師と相談し低濃度アトロピンへ変更することは可能です。

代表的な文献:近視の進行を制御するためのアトロピンの有効性と安全性:系統的レビューとメタアナリシスZhao, C., Cai, C., Ding, Q. et al. Efficacy and safety of atropine to control myopia progression: a systematic review and meta-analysis. BMC Ophthalmol 20, 478 (2020). https://doi.org/10.1186/s12886-020-01746-w

下のページも参考になります。

子供の近視進行抑制の5ステップ:米国眼科学会資料

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