コンタクトレンズ・眼鏡処方

[No.2228] コンタクトレンズ使用者での定期的な眼科検診の必要性:

 年末が近づき、年に一度のコンタクトレンズ検診に訪れる患者さんがちらほらと受診されています。コンタクトレンズ使用者は目の病気にかかりやすいリスクが高いため、定期的な眼科検診で目の健康を保つことができます。また、定期的な眼科検診ではより良いコンタクトレンズを使用した生活のための相談もすることができます。

 コンタクトレンズを使う人の多くは近視です。コンタクトレンズ装用者では、アレルギー性結膜炎やドライアイに伴う角膜障害などを定期的に眼科で調べることが望ましいです。また近視の人では緑内障の比率も比較的高く、その除外も定期的にしておくことが望ましいです。殊に-6.0Dよりも強い近視(強度近視)では緑内障であったりまた緑内障に似た視神経障害による視野障害を示す事が多いことも最近注目されています。

 コンタクトレンズの定期検査を眼科で受けている日本人の割合についてネットで検索調査してみましたが、アンケートなどによるその結果情報は見つかりませんでした。コンタクトレンズは度数を指定すると受診することもなくネットで発注できる場合もあるため、定期的に検診を受けていないコンタクトレンズユーザーの比率が増えていることが恐れられています。

 コンタクトレンズ装用者での適切な定期検診頻度については、一般的に3か月、長くても1年ごとの定期健診が目安とされています。定期的な検診は、目のトラブルの早期発見や見え方の変化の確認、気になることの相談などにも役立ちます。

 コンタクトレンズを使用する人には、目の病気にかかりやすいリスクがあります。コンタクトレンズユーザーに見られやすい目の病気にはどのようなものが有るのでしょうか?

1)ドライアイ;コンタクトレンズ使用時に眼の乾き(ドライアイ)が気になるという人は少なくありません。この場合には保湿性の高いレンズに選び直したり、保湿目的の点眼薬を使ったり、或いは、角膜表面変化が強い場合には涙点プラグを涙小管に挿入したりすることで対応できる場合もあります。

2) 角膜上皮障害:目の疲れや軽い痛み、充血などを自覚しているのに、無理なコンタクトレンズ装用を続けると、目の表面が細かく傷つき、角膜上皮障害(瀰漫性表層角膜炎)を引き起こすこともあります。その場合にはヒアレインなどの角膜保護剤を処方します。

3)角膜感染症;次に、角膜感染症が挙げられます。コンタクトレンズは異物であるため、使用方法を誤ったり、ケアを怠ったりすると、角膜表面の小さな傷から角膜実質に病原体が入ることによる角膜感染症のリスクが高まります。代表的なものには緑膿菌やアカントアメーバによるによる角膜潰瘍が有ります。その際にはレンズ使用を即時中止していただき、適切な抗生剤点眼などを使用することが必要です。

4)老視: 例えば、コンタクトレンズで遠方も近方も良く見えていたが、40歳を過ぎて近方が見えにくくなった、という老視(老眼)進行に伴う対応が必要な場合があります。従来は近視コンタクトレンズを使って見え方に問題なく過ごしてきたが、最近そのレンズでは近方が見にくくなったという老視の入ってきた方の相談を最近は多く受けます。それへの答えは:(1)処方する近視度数を1D程度弱くする。(2)プラス1D程度の弱い老眼鏡を事務作業時には常用レンズ上で重ねて掛けて負戴く。(3)遠用度数で調整していたレンズを、遠近両用の多焦点コンタクトレンズに替える。(4)片眼を遠方に他眼を近方に合わせるというモノビジョンという方法で処方するなどの対応もできます。

5)花粉症対策; これから年を越しますと2月ころからスギ花粉症の季節が来ます。スギ花粉症のある患者さんでは、コンタクトレンズと眼表面の間でスギやヒノキの花粉が破砕され、抗原の眼表面への提示が強化されます。アレルギー性結膜炎などの症状を過去に経験している患者さんでは、1月ほど前から抗アレルギー薬の点眼開始(アレルギー性結膜炎の早期治療)が推奨されています。実際に花粉症の季節になってかゆみや充血が強い時期になりましたら経口の抗アレルギー薬内服に加えて、コンタクトレンズ装用を一時中断することを勧告する場合もあります。   

 繰り返しになりますが、コンタクトレンズを使用する際には、正しい使用方法とケアが必要です。ケア方法がわからない場合には眼科受診時にご相談ください。また、コンタクトレンズ使用者は、定期的な眼科検診も重要です。

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