コンタクトレンズ・眼鏡処方

[No.184] なぜコンタクトレンズを使っている人はかかりつけ眼科医が必要なのか:日刊ゲンダイ自著記事紹介

みんなの眼科教室 教えて清澤先生

なぜコンタクトレンズを使っている人はかかりつけ眼科医が必要なのか

写真はイメージ

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【Q】コンタクトレンズはネットで買うか、必要なときに目に留まった眼科医院に行くくらいで決まった眼科には通っていません。周りの友人も同じなので安心していたのですが、会社の先輩から「かかりつけの眼科医は持っていた方がいい」と言われました。どんなメリットがあるのでしょうか?(25歳・男性)

【A】もし、眼科医が決まってなくて、必要に応じて最寄りの眼科に行くとか、前回購入した度数のコンタクトレンズをネットで購入しているということでしたら、かかりつけの眼科医を決めておくことを強くお勧めします。

われわれ眼科医のところには、角膜にコンタクトレンズを原因とする角膜潰瘍を起こした初診の患者さんがしばしば来院されます。そのような患者さんの中には、「ワンデイ」(1日用)のコンタクトレンズを何日も使っていたり、時にはレンズをつけたまま就寝してしまっているといった、いくつかの禁忌を犯している患者さんもいます。

 そうした重症のコンタクトレンズ外傷の患者さんが来院されたときには、ひとまず応急の対応をして、角膜を専門に治療している大学病院に紹介を出すケースも多いのです。紹介先に状況を的確に伝え、必ずその日のうちに大学病院の先生の診察を受けられるように、電話で交渉するのも開業医の大事な仕事です。

 中には、水道水でレンズを洗っていたことで起こったアカントアメーバ角膜炎などのように、一般の開業医では診断も治療もできない疾患である場合もあります。いずれにしても、角膜病変が少し落ち着くと、患者さんは開業医のもとに大学病院の解答付きで戻されてきます。

 また、コンタクトレンズを使われる患者さんでも、予備の眼鏡を作っておくことをお勧めしています。疲れて目が赤い、ドライアイが昂じて目の異物感が強いなど、コンタクトレンズ装用を続けるべきではない状況の時には、すぐにコンタクトレンズを外して眼鏡に戻していただきたいからです。コンタクトレンズ装用では無理をしてはいけません。無理に装用を続けると、炎症や潰瘍に対して角膜周辺部からの血管侵入が起きやすく、それは二度と完全に退縮することはないのです。

 軽症で大学病院にお願いするほどではない程度の場合、われわれ眼科医は過去のカルテを見ながら、「前回、白眼が赤くなった時には何が起きていたのか」を考え、今回の対応を決めます。コンタクトレンズ外傷の進行はとても早く、前回の記録で前に何があったのかを知れば、今回の病変に対しても手遅れにならないうちに正しい対策を打つことができます。

 一見、何もない時でも、定期的に眼科医を訪れて角膜と結膜の状態を診てもらっておいてください。「目が乾く」など、患者さんが漏らす一言が、新たな病変の開始をわれわれ眼科医に教えてくれるかもしれないのです。

 

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