コンタクトレンズによる眼障害(重症)のアンケート調査の集計結果報告(令和4年)を「日本の眼科」が2号210‐215ページで紹介しています。ネットで報告された症例をまとめたものであり、全数調査ではありません。膨大な数のグラフが示されていますが、結論は、コンタクトレンズは高度管理医療機器であり、眼科医の診察と処方が必要であるが、現状ではインターネットや雑貨店などで簡便に購入できることや、定期検査の必要性を感じないことが多いことが問題であるという事でした。
その概要です。
- 調査方法:日本眼科医会のホームページから、重篤なコンタクトレンズ眼障害の報告を入力する形式で、性別、年代、来院理由、発症眼、初診時所見、細菌学的検査、コンタクトレンズの種類、処方施設、購入先、使用期間、ケア方法、定期検査、3ヵ月後の転帰などの項目を調査した。
- 調査結果:有効回答数は78例で、女性が75.6%、10代から30代が73.1%を占めた。来院理由は眼痛と充血が多く、発症眼は右眼と左眼がほぼ同数で、両眼が25.6%だった。初診時所見では毛様充血が80.8%、角膜潰瘍が41.0%認められた。細菌学的検査は5例のみ施行された。コンタクトレンズの種類では、1日使い捨てと2週間頻回交換が各29.5%、カラーコンタクトレンズが28.2%だった。処方施設では医師の処方を受けなかったが30.8%、購入先ではインターネットが43.6%と多かった。使用期間は1週間以上過ぎて使用した例が13.0%、ケア方法は全くしていない例が10.3%、定期検査は全く受けていない例が47.4%となっており、コンタクトレンズの適切な使用と管理が不十分なことが示唆された。3ヵ月後の転帰は1例のみ報告された。
- 考察:コンタクトレンズは高度管理医療機器であり、眼科医の診察と処方が必要であるが、現状ではインターネットや雑貨店などで簡便に購入できることや、定期検査の必要性を感じないことが多いことが問題である。5コンタクトレンズによる重篤な眼障害を予防するためには、眼科医としてコンタクトレンズ使用者に定期的な眼科チェックの重要性を啓発する必要があると考えられる。
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