小中学生の近視進行予防に有効とされるのが、①オルソケラトロジー(保険外診療)、②低濃度アトロピン点眼(保険外診療)、③一日2時間の戸外活動時間(無料)。今日は、メニコン社のオルソK処方講習会を職員が院内で拝聴した内容を整理しました。以下、オルソケラトロジーレンズ処方に関する重要なポイントを(眼科関係者向けに)、まとめています:
① オルソケラトロジーの原理:
- レンズを角膜上に置き、角膜前面を平坦化させて屈折異常を一時的に改善させます。主に就寝時に装用し、近視を矯正するという仕組みです。
- 角膜上皮層の形状を変化させ、可逆的に近視を抑える効果があります。
- レンズの中央部分は周辺部よりもフラットにデザインされており、角膜上皮は通常50ミクロンで5-6層の厚さです。夜間にレンズで圧迫し、上皮の厚みに変化を生じさせる「上皮再分配」が起こります。
- 効果は可逆的で、平均30.7日で復元されます。
② メニコンオルソKのデザイン:
- 標準タイプのオルソKと、角膜乱視が強いひと向けのオルソK CAの2つがあり、どちらも就寝時に装用します。デザインは角膜の弱主経線に基づいています。
- レンズには次の4つのカーブが含まれています:
- ベースカーブ(B.C.):目標矯正値に応じて中央で角膜上皮層を押えます。
- リバースカーブ(R.C.):急な傾斜を持ち、フルオ染色で確認できる緑のリング。
- アライメントカーブ(A.C.):レンズのセンタリングを保持し、レンズ全体を支えます。
- ペリフェラルカーブ(ベベル):最周辺部に位置します。
③ 処方手順:
- 処方の流れは、①同意説明、②適応検査、③試験装用、④レンズ発注、⑤取り扱い指導、⑥定期検査で進行します。
- 適応検査では、屈折値、角膜曲率半径、角膜形状解析が行われ、試験装用ではトライアルレンズを使用し、フルオ染色でリングの均等さを確認します。
④ メニコンオルソK処方のポイント:
- 処方は簡単です。もしセンタリングが不良ならアライメントカーブを変更するか、乱視タイプのレンズに変えることで対処できます。
- 細かな規格選択も可能で、最適な処方を提供できます。
⑤ オルソケラトロジー国内臨床試験:
- 試験に基づいたデータやエビデンスを参考に、安全性や有効性が確認されています。
- まとめ:オルソKの処方はそれほど難しいものではありません。今後多くの小中学生に利用されることを願っています。
コメント