小児の眼科疾患

[No.1636] 「小中学生の8.8%が該当 発達障害は「触覚過敏」に悩むケースも多い」:記事紹介

「小中学生の8.8%が該当 発達障害は「触覚過敏」に悩むケースも多い」という記事が日刊ゲンダイに出ています。以前から、自閉症児の物の見え方にビジュアルスノウとの類似性があると感じておりましたが、この記事を読んでみますと、「ビジュアルスノウ症候群」(視界砂嵐症候群)と発達障害の類似性が垣間見られる気がして興味を惹かれました。乳幼児ではハーネスの使用が子供の安全確保に有効だそうです。

   ーーー記事要点採録ーーーー

「発達障害」と診断される人が増えているが…(写真はイメージ)

「発達障害」と診断される人が増えているが…(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

「発達障害」と診断される人が増えているという。症状のひとつとして大きな音を苦痛に感じる「聴覚過敏」が知られているが、最近、今まで必ずしも重要視されていなかった「触覚過敏」に悩む人が少なくないことも明らかになった。国立障害者リハビリテーションセンター研究所脳機能系障害研究部発達障害研究室長の和田真氏に詳しく聞いた。

 発達障害とは、生まれつき脳の発達に違いがあることで社会生活に困難が生じる障害で、主に3つに分類される。

「自閉スペクトラム症(ASD)」こだわりが強く、特定のことに強い興味や関心を持ち、発達障害を持たない定型発達の人とのコミュニケーションに困難が生じる。

「注意欠如多動症(ADHD)」発達年齢に見合わない不注意や衝動的な行動を繰り返し、落ち着きがない症状がみられる。

「学習障害(LD)」知的発達には問題はないが、計算や読み書きなど特定の分野にのみ困難が生じる。 昨年実施された文科省の調査によると、通常学級に通う小中学生のうち、8.8%がいずれかの発達障害の可能性があるという。2020年の米国の調査によると、8歳児の36人に1人がASDと診断されたと報告されている。さらに、大人になって社会生活を送る中で人とのコミュニケーションや業務に問題が生じ、生きにくさを感じることで発達障害に気づく人も多いという。

「発達障害と診断される人は年々増えていますが、原因は分かっていません。近年のSNSの発達によって、いろいろな人とのコミュニケーションが求められる環境になってきています。おそらく、多くの人とコミュニケーションを取る際に困難や問題が生じて、クリニックを受診し、発達障害の診断が下りる人が増えているのではないでしょうか」

 家族、友人、同僚、部下など身近なところに発達障害を抱えて苦しんでいる人がいてもおかしくない。だからこそ、周囲もしっかり理解したうえで、適切な対応が重要になる。

■衣類のタグや素材に気を配る

 中でも、無視できないのが「触覚過敏」の症状だ。和田氏らが発達障害の人を対象に行った「感覚」に対する調査で、特にASDの人は「触覚」の問題が最もつらい症状だと答える割合が、ADHDやLDに比べて多いことが分かったという

「これまで、発達障害の人は聴覚が過敏であることはよく知られていました。実際、発達障害を持つ人のうち50%以上の人が、聴覚の問題を最もつらい症状と回答しています。しかし、ASDでは『服のタグが肌にあたりチクチクしてつらい』『人と握手したり触られるのが苦痛だ』と訴える人が多かったです。また水や粘土など、特定のものが苦手と答える人もいました。聴覚に加え、触覚についても適切に対応することが大切です」

 発達障害で感覚過敏になる原因は明らかになっていないが、脳の神経の発達に関わる遺伝子に違いがあることで感覚の調整に問題が生じて、感覚過敏を引き起こすとされている。発達障害がない定型発達の人は、強い光を見たり大きい音を聞いても徐々に慣れるのに対し、発達障害の中でも特にASDの場合は感覚の調節が難しく、必要な感覚刺激だけを拾えずにすべての刺激を受け取ってしまうという。実際、周囲の雑音など、自分にとって必要な注目すべき音以外もすべて同じ音量で聞こえてしまうことから、騒がしい環境での会話が難しいそうだ。

「触覚過敏の人は、衣服のタグを取り除いたり、たとえば木綿など自分に合った素材の服を選んで着ると不快感が改善されます。触られるのが嫌なお子さんには、外出中はハーネス(清澤注:子供用命綱、アイキャッチ画像参照、子供が勝手に親から離れてあっちこっちに行くのを防ぐ命綱)の着用が有効です。また、聴覚過敏の場合、ノイズキャンセリング機能がついたヘッドホンや、耳栓、イヤーマフを着けると楽になります。ただ、触覚過敏も併発していると、自分に合わない素材の場合には長く着けているのが難しくなってしまうので、試着を十分に行いながら自身に合うものを探す必要があります」

 また、発達障害では不安が強いときに感覚過敏が悪化することが分かっている。そのため、強いストレスを受けない生活を意識する必要がある。

 発達障害は病気ではなく、生まれつきの“特性”といえる。それぞれが持つ特性を周囲が理解し、困りごとがある場合には協力して一緒に解決していくことが大切だ。

そもそもビジュアルスノウ(visual snow)とは:清澤眼科関連記事 集録

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発達障害と視覚障害のある子供:眼科医が家族や学校に提供できる情報 シャロンS.リーマン 論文紹介です

 

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