小児の眼科疾患

[No.993] ~スマホ内斜視(若倉雅登);記事採録

清澤のコメント:スマホ内斜視は輻輳痙攣の機序によると考えてよいのですね。

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物が二重に見える~スマホ内斜視(井上眼科病院 若倉雅登名誉院長)~

 スマホの使い過ぎで、体の不調を訴える人が増えている。物が二重に見える「複視」を訴える急性内斜視、いわゆる「スマホ内斜視」もその一つだ。スマホ内斜視の詳細や治療法について、井上眼科病院(東京都千代田区)の若倉雅登名誉院長に聞いた。

増える若年層の急性内斜視

増える若年層の急性内斜視

 ▽神経のけいれんで発症

 近くの物を見るときは、ピントを合わせるために脳から神経が刺激され、眼の鼻側に付いている内直筋が縮むことで、両眼が内側に向く。これを近見(きんけん)反応という。

 近くの物から遠くの物に視点を移すと近見反応は緩められる。脳にそれをつかさどる機能はなく、眼は自然に元の位置に戻る。しかし、近くの物を長時間見続けることで近見反応が制御不能になると、神経がけいれんを起こして眼は内側に寄ったままの状態となる。これが急性内斜視だ。

 ▽手術で眼の向きを調整

 若倉名誉院長によると、近年スマホやタブレットなどで目を酷使したことが原因と思われる急性内斜視で同院を受診する患者が増えている。「日本より早くデジタル機器が普及した韓国やインドなどでは、スマホ内斜視の臨床研究が盛んに行われ、実態が分かってきました」

 韓国で2009~14年に大学病院の小児眼科を急性内斜視の症状で受診した12人(7~16歳)について調べたところ、全員が30センチ以下の距離で一日平均4時間以上、4カ月以上にわたりスマホを使用していたことが分かった。12人中9人が、物が横にずれて見える水平複視を訴え、特に遠くを見る時に生じやすかった。スマホの使用中止により、全員改善したが、5人は手術が必要だった。

 一方、インドでは新型コロナ禍でスマホを使ったオンライン授業の影響により、急性内斜視と診断された6~18歳の男児8人は、1日4時間以上スマホを使っており、このうち7人が複視を訴えた。

 スマホ内斜視の治療ではまず、スマホの使用を長くても一日4時間までに抑え、目を休ませる。特殊なレンズの眼鏡で矯正する治療法もあるが、効果がなければ手術で内直筋を調整する。

 若倉名誉院長は「国内でも、眼科医へのアンケートなどでデジタル機器の使い過ぎによる急性内斜視が若年層で増えていることが示唆されています。国を挙げて注意を呼び掛ける必要があります」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

  ◎ーーーー上記記事で言及されている最近の海外文献ーーーー

 2016; 16: 37. 
Published online 2016 Apr 9. doi: 10.1186/s12886-016-0213-5

Acute acquired comitant esotropia related to excessive Smartphone use

アブストラクト
背景: 青少年の過度のスマートフォン使用に関連する急性後天性共同性内斜視 (AACE) の臨床的特徴と転帰を説明すること。

方法: 急性後天性共同性内斜視 AACE 患者 12 人の医療記録とスマートフォンの過度の使用歴をレトロスペクティブにレビューし、スマートフォンの使用期間、偏角、屈折異常、立体視、および治療オプションを分析しました。

結果 すべての患者は、遠見で 15 ~ 45 プリズム ディオプター (PD; 平均: 27.75 ± 11.47 PD) の範囲の輻輳性および共同性内斜視を示しました。偏角は、遠見と近見でほぼ同等でした。すべての患者は、数か月間 (最低 4 か月) にわたって 1 日 4 時間以上スマートフォンを使用していました。近視屈折異常は 8 人の患者で検出され (平均:-3.84 ± 1.68 ディオプター (D])、残りの 4 人の患者は軽度の遠視屈折異常を示しました (平均: +0.84 ± 0.53 D).スマートフォンの使用を控えてもかなりの残余斜視を伴う 3 人の患者で、両側の内直筋後転が行われた.術後の検査では、これらの患者で良好な立体視力を伴う正位が示された.

結論;過度のスマートフォンの使用は、青年期の急性後天性共同性内斜視 AACE の発生に影響を与える可能性がある.スマートフォンの使用を控えると、程度が低下する可能性があるこれらの患者の内斜視の残余の逸脱は、外科的矯正で首尾よく管理することができます。

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◎ 佐藤美穂らの日本での調査 日本弱視者史学会報2021、56巻2号に掲載

https://www.gankaikai.or.jp/press/detail2/__icsFiles/afieldfile/2022/01/25/20220125_3.pdf

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