網膜色素変性症のうちでも、錐体桿体ジストロフィは、網膜の中央部に多い錐体細胞が(網膜の桿体細胞に比べて)優位な障害で起こる疾患です。時に錐体ジストロフィーとも呼ばれます。両眼視力低下や中心暗点のほか、羞明または明るいところで特に見えにくい(昼盲)という症状が特徴的です。(典型的な網膜色素変性症である桿体ジストロフィーではこれとは違って暗いところで視にくいという夜盲を訴えます。)また、錐体は色覚にも重要であるため、色覚異常も早期から生じうるとされます。多くは、眼底所見で黄斑部に萎縮病巣を認めますが、その異常が指摘できない場合もあります。進行は比較的緩徐です。錐体ジストロフィの原因は遺伝子異常であり、遺伝形式は優性、劣勢などどの形式でもみられます。最近は、原因遺伝子にはGUCA1A、GUCA1B、GUCY2Dなど多くの変異の報告があります。
錐体ジストロフィの診断においては、20~30歳以降に進行性の視力低下、昼盲、色覚異常などを主訴に受診することが多いです。網膜の黄斑部にリング状の萎縮病巣(bull’s eyeブルズアイ:牡牛の目;上の図)があり、かつ全視野網膜電位図(ERG)で錐体の反応が低下していることが診断の決め手となります。
現在確立された有効な治療法は存在しません。自覚症状として羞明が強いことが多いため、対症療法として遮光眼鏡の処方することもあります¹。
◎ 黄斑ジストロフィー(指定難病301) – 難病情報センター. https://www.nanbyou.or.jp/entry/4798
錐体と桿体の分布は図のように説明されています。つまり中心窩はすいたいがほとんどで、その周りに桿体が分布しています。(出典)
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