中高年女性の片眼の網膜静脈閉塞症についての説明
1. 症状
網膜静脈閉塞症は、網膜内の血管が詰まることで発症します。片眼で突然の視力低下や、視野に黒い斑点が現れることが一般的です。初期には、目の痛みや充血は伴わないことが多いですが、視力の急激な変化が現れるため、気づきやすい症状です。時に、物が歪んで見える(変視症)や、視野にカーテンがかかったような感覚があることもあります。
2. 検査所見
網膜静脈閉塞症が疑われる場合、以下のような検査所見が得られます。
- 眼底検査: 網膜内の出血斑や浮腫が確認され、網膜静脈の拡張や蛇行が見られます。
- 蛍光眼底造影検査: 網膜の血流障害や虚血領域を確認するための検査で、詰まっている血管や虚血がはっきりと写し出されます。
- OCT(光干渉断層計): 網膜の厚みやむくみ(黄斑浮腫)を正確に測定し、治療の効果や病状の進行をモニタリングします。
3. 治療法
治療は、病状の重さや進行度に応じて異なりますが、主な治療法には以下が含まれます。
- 抗VEGF療法: 網膜の浮腫や出血を抑えるために、目の中に注射を行います。特に黄斑浮腫がある場合に有効です。
- レーザー光凝固療法: 虚血部位へのレーザー治療により、新生血管やさらなる合併症の予防を図ります。
- ステロイド注射: 浮腫を抑えるために使用されることがありますが、副作用に注意が必要です。
- 血栓予防薬: 網膜静脈閉塞症の再発や悪化を防ぐために、内科的な血液サラサラの薬を処方することもあります。
4. 将来起こり得る合併症
網膜静脈閉塞症は、進行するといくつかの合併症を引き起こす可能性があります。
- 黄斑浮腫: 中心視力に関わる黄斑部に浮腫が生じることで、視力の著しい低下を引き起こすことがあります。
- 網膜虚血: 網膜の一部が虚血になると、新生血管が形成され、網膜剥離や新生血管緑内障のリスクが高まります。
- 新生血管緑内障: 虚血によって網膜や虹彩に新しい血管が形成され、眼圧が上がり、緑内障を引き起こすことがあります。
5. 定期的な診察の重要性
網膜静脈閉塞症は、症状が一時的に治まったとしても、長期的に合併症が現れるリスクが残ります。そのため、定期的な眼科診察が非常に重要です。少なくとも数か月毎に眼科で視力検査や眼底検査、OCT検査を行うことで、早期に再発や合併症を発見し、適切な治療を継続できます。定期的な診察により、視力の維持や合併症の予防が可能となります。
症状が落ち着いたとしても、網膜静脈閉塞症は合併症のリスクを抱えているため、定期的な診察を怠らないようにすることが重要です。
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