コクサッキーウイルス感染に伴う急性本態性黄斑症Acute idiopathic maculopathy with cocsackie infectionと手足口病Hand foot and mouth disease.
本日の Wills eye hospital網膜症例検討2例目ではAcute Idiopathic Maculopathy (AIM) with Coxsackie infectionが示されていました。
症状
- 急性の視力低下:片眼性であることが多い。
- 視野異常:中心暗点や歪視を訴える場合がある。
- 痛みや炎症症状は通常認められない。
検査の特徴
- 眼底検査:
- 黄斑部の灰白色の変化(黄斑部の浮腫:左図、講演のキャプチャー図)。
- 視細胞層の障害を示唆する所見。
- 光干渉断層撮影(OCT):
- 網膜色素上皮(RPE)と神経網膜の間の液体貯留。
- 視細胞外節や内節の構造破壊。
- 蛍光眼底造影(FA):
- 初期では過蛍光、後期では染み出し(右図)。
- 自発蛍光:
- 黄斑部に低蛍光の病巣。
- 血液検査:
- コクサッキーウイルス(特にA型)に対する抗体価の上昇。
経過
- 症状は通常、感染から数週間後に発症。
- 自然治癒する場合が多く、視力は数か月以内に回復することが多い。
- 適切な治療が行われない場合、瘢痕形成や視力低下が残ることがある。
Hand-Foot-and-Mouth Disease with Coxsackie Virus Infection
症状
- 皮膚症状:
- 手掌、足底、口腔内の小水疱や潰瘍。
- 痒みや痛みを伴うことがある。
- 全身症状:
- 発熱、倦怠感、食欲不振。
- 乳幼児では泣き、脱水症状を伴うことも。
- 稀に眼の症状として、結膜炎やぶどう膜炎が併発する場合がある。上の症状も見られる。
検査の特徴
- 皮膚所見:
- 特徴的な発疹と水疱。
- 血液検査:
- コクサッキーウイルスのPCR検査や抗体価上昇。
- 口腔内検査:
- 潰瘍性病変が観察される。
- 眼科的検査(眼症状がある場合):
- 前部または後部ぶどう膜炎の兆候。
- OCTやFAで網膜異常がないか確認。
経過
- 症状は通常1~2週間で自然軽快。
- 重症化する場合には、特に免疫抑制状態や新生児で中枢神経症状(無菌性髄膜炎や脳炎)を伴うことがある。
関連
これらの疾患はコクサッキーウイルス(主にA16型またはA24型)に関連する場合が多いですが、他のエンテロウイルスによる感染も考慮する必要があります。AIMの発症は、全身性の感染症の後に免疫反応として生じる可能性があると考えられています。
患者さんに説明する際は、「急性黄斑疾患は自然治癒が期待できますが、視力のモニタリングが重要」といったメッセージを伝えると良いとのことでした。
コメント