スターガルト病(スタルガルト病)
スターガルト病(スタルガルト病)は、若年性の黄斑変性症で、主に10〜20代で発症します。常染色体劣性遺伝形式をとり、近年ではABCA4遺伝子の異常が原因とされています。このFAGではダークコロイド(蛍光眼底撮影における脈絡膜背景蛍光)が見られるのが重要な特徴とされた時代がありました。 10年以上前に学会の講習会で私がこの疾患を話題にしたときに、ダークコロイドの意味付けにつき訂正を受けたのを鮮明に覚えています。
症状:
- 両眼の進行性視力低下
- 視野障害
- 羞明(まぶしさ)
所見:
- 眼底検査で黄斑部の萎縮と黄色斑(フレック)が特徴的
- 網膜色素上皮にリポフスチンの蓄積や萎縮が見られる
- 自発蛍光検査で過蛍光を示す
- フルオレセイン蛍光眼底造影(FAG)で「ダークコロイド」と呼ばれる背景低蛍光が認められる
診断:
- 症状、眼底所見、自発蛍光検査、FAG検査などの結果を総合的に評価
- 網膜電図(ERG)で重症度を分類し、予後の判断に利用
治療:
- 現在、確立された治療法は存在しません。
ダークコロイドの意味とスターガルト病での出現理由: ダークコロイドとは、FAG検査で脈絡膜の蛍光が低下し、背景が暗く見える所見を指します。スターガルト病では、網膜色素上皮にリポフスチンが蓄積し、これが背景の蛍光を遮断するため、ダークコロイドが観察されるとせつめいされています。 グチポイ
追記:ダークコロイドの追加の説明です:OCTが、視細胞層の菲薄化やRPE萎縮を可視化し、蛍光眼底造影の所見を補完します。
ダークコロイド(または「サイレントコロイド」)は、遺伝性網膜ジストロフィーの一種であるスタルガルト病において、蛍光眼底造影(FA)で観察される特徴的な所見です。以下、その意味を解説します。
説明:
- 蛍光眼底造影におけるダークコロイド:
- 蛍光眼底造影では、脈絡膜の蛍光が著しく減少し、背景蛍光と比較して「暗く」見えます。
- これは、スタルガルト病で網膜色素上皮(RPE)や視細胞が機能不全を起こし、RPEにリポフスチン様の沈着物が異常に蓄積するために起こります。
- メカニズム:
- RPE細胞内のリポフスチンが蛍光色素(フルオレセイン)を吸収し、下層の脈絡膜からの蛍光の透過を妨げます。
- このため、画像上で脈絡膜が暗いまたはサイレントに見える状態となります。
- 正常な眼との対比:
- 正常な眼では、蛍光色素がRPEを通過し、脈絡膜からの反射や漏出により明るい蛍光が観察されます。
臨床的意義:
- 診断の指標:
- ダークコロイドは、特に眼底検査で構造的異常が顕著でない若年のスタルガルト病患者において、重要な診断指標とされています。
- 鑑別診断:
- ダークコロイドはスタルガルト病に特有ではなく、RPE機能不全やリポフスチンの蓄積が顕著な他の疾患(例: フンドス・フラビマクラータスや関連する網膜ジストロフィー)でも見られる場合があります。
- 遺伝子変異との関連:
- スタルガルト病は多くの場合、ABCA4遺伝子の変異と関連しています。この遺伝子の異常により、視細胞の外節の正常な処理が阻害され、リポフスチンが蓄積します。
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日本国内でABCA4遺伝子の検査を実施している施設としては、東京慈恵会医科大学:同大学は全国12の眼科施設と共同で、スタルガルト病患者を対象にABCA4遺伝子の解析を行っていると記載がありました。慈恵医大
蛍光眼底造影以外の画像検査:
- 自発蛍光(FAF):
- 過蛍光性の斑点や低蛍光性の萎縮領域は、リポフスチンの蓄積を示す追加の証拠となります。
- 光干渉断層計(OCT):
- 視細胞層の菲薄化やRPE萎縮を可視化し、蛍光眼底造影の所見を補完します。
要するに、スタルガルト病におけるダークコロイドは、RPEと視細胞の病理に基づく機能的な結果を反映したものであり、この疾患の診断における重要な所見です。
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