糖尿病網膜症・加齢黄斑変性・網膜疾患

[No.575] 網膜剥離は加齢で増える 光の点滅が突然見えたら注意 60歳からの健康術 眼科編(7)

網膜剥離は加齢で増える 光の点滅が突然見えたら注意 60歳からの健康術 眼科編(7)

写真はイメージ

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 網膜とは、光に反応して色や形を感じ取る「視細胞」が1億個以上も集まった薄い膜のこと。目の中に入ってきた光が像を結ぶスクリーンの働きをする。網膜剥離はその薄い膜がはがれる病気だ。ボールが当たったり、打撲を受けたりしたことによる眼球の急激な変形で起きるケースもあるが、40歳以降の眼内の加齢変化によって突然、生じることが多い。自由が丘清澤眼科(東京・目黒区)の清澤源弘院長が言う。

「年をとると硝子体が縮小していきます。硝子体は眼球の内部の大部分を満たす無色透明のゼリー状のもので、カメラでいうレンズにあたる水晶体の後ろに接し、眼球の奥を満たして眼球の形を保つ役割をしています。健康な人が目を動かすと、硝子体は網膜の上を自由に動き回れますが、一部が網膜に癒着すると網膜を引っ張り、穴を開けてはがします。これが網膜剥離です」

 網膜がはがれても痛みはない。ただ、目をつむると光の点滅が見えたり、多くの浮遊物や斑点、線、またはクモの巣状のものが見えたり、また直線が曲がって見えたりし、やがて視野が欠けることになる。

「小さな裂孔は年をとると本人も知らない間に起きることがあります。その中で、剥離が広がって視野欠損などの症状があり、治療を要するケースは1年間で人口1万人に1人程度といわれています」

 治療は、軽いものなら光凝固を行う。それ以上なら手術が実施される。目の中に気泡を注射して網膜を所定の位置に戻す、眼球の外側にシリコーンゴムなどのバンドを縫い付ける、網膜に付着している硝子体を切り離す、などの方法がある。

「手術ですからリスクはありますが、網膜剥離は手術しないと永久に視力を失うことになります」

 網膜剥離の患者の40~50%が中等度以上の近視で、30~40%が白内障手術を受けており、10~20%は直接的な目の外傷を受けていたとの報告がある。

「また、片方に網膜剥離がある人は残りの目もなりやすいことが知られています。さらに家族に網膜剥離の方がいる人も注意が必要です」

 ただし、この病気は早期発見・治療をすれば進行を止めることができる。気になる人はかかりつけの眼科専門医に定期的に検査してもらうことだ。

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