ご近所の話題

[No.2501] ちかさと眼科研究会(宮田眼科東京)を聞いて来ました。

清澤のコメント:元東京医科歯科大学眼科の主任教授である望月學先生を院長に四ツ谷駅前に開院された宮田眼科東京の開院一周年記念の講演会があり、それに参加して話を聞いて来ました。ちかさと眼科研究会の「ちかさと」とは、千葉、神奈川、埼玉、東京の頭の文字を並べたものだそうです。宮田理事長の挨拶で、東京に宮田眼科を作ったのは眼科医が集まれる場所を東京にも作ろうと思ったからであり、東京進出の意図では無いという挨拶が印象的でした。医科歯科大学の高瀬博病院教授は3月末で医科歯科大を離れ、宮田眼科に3日加わるそうです。

◎見逃しやすい糖尿病網膜所見:杏林大学 平形明人 教授

 最近は広角眼底写真やOCTアンギオが取り入れられて、糖尿病の眼底を散瞳もせず、FAG(蛍光眼底撮影)もせずに見られるようになった。また抗VEGF薬硝子体注射の普及による早期治療も可能になった。しかし、その眼底読影にあたっては何が起きてい得るのかを予測して、拡大してみる必要があるということを症例提示から話されました。軟性白斑、網膜内血管異常(IRMA)、静脈血管の口径不動は前増殖性糖尿病の大切な所見であり、明白な網膜出血を伴わないことも多いという。殊に近視眼では点状出血や、斑状出血や血管走行異常が検出しにくい。広角写真をモニター上で拡大しないで読影すると出血や白斑もわかりにくい。中間周辺部のこのような変化を樋田教授は「寂しい眼底」と呼んだという。

 私にとっては、糖尿病に対する眼底検診や健康診断の眼底読影において、このような症例を見落としていなかったかが大変気になる話でした。薄い新生血管も見落としやすいでしょう。当医院ではハードコンタクトレンズを処方している強度近視の患者さんが多いです。OCTで緑内障の網膜神経線維層の欠損を示す緑内障の見落としには十分に気を使ってきていたが、糖尿病性変化の見落としにもまた注意が必要なようです。自分の医院では蛍光眼底撮影ができないので、少しでもそのような症例があれば、基幹病院に依頼をするような道を用意する必要を感じました。

用語確認:NVD (糖尿病性のNeovascular disease, ないし Neovascularization of the Disc), NVI (Neovascularization of the Iris,),NVG(血管新生緑内障)、IRMA(intraretinal micro anourysm; これはアーマと読む)、VR(venous beeding: 静脈の数珠状変化)、OCTA(OCTアンギオ)、

角結膜疾患の診療エッセンス、そして雑談 木下茂 京都府立医大 共同研究講座感覚器未来医療学 教授

 京都府立医大眼科教授を23年務められた木下教授が退官され、現在は京都府立医大では以前からの治験患者を時に見るだけだが、今も市内の3病院でフルに角膜診療を続けられているとのことだった。

 適切な治療方針を選択して行くためには、information (疾患残飯に関する知識)、inspection (スリットランプ検査を中心とした視診)、imagination (疾患病態を自分なりに想定する)という3iのプロセスを大切にした論理的思考による診療が重要となると話された。眼表面疾患は、感染性、感染アレルギー、そして非感染性の3つのどのカテゴリーかをまず推測するという。感染アレルギーには小児眼瞼角結膜炎もある。非感染性疾患では、薬物毒性、ドライアイ、マイボーム線機能不全、アレルギーなどを鑑別して行く。

 角膜の外科的治療は大きな変革期にあり、角膜内皮疾患に対してはDSAEK、DMEK、角膜内皮移植術が台頭している。克服されていないのは緑内障眼への角膜移植の長期成績が担保しにくいことだとのことでした。

用語確認:

DSAEK:DSAEK (Descemet’s Stripping Automated Endothelial Keratoplasty) は、角膜内皮機能不全の患者に対して行われる角膜移植手術。この手術では、患者の目から内皮細胞とデスメ膜(角膜実質層と角膜内皮層の間にある強靭な膜)を取り除き、同じ大きさのドナー角膜の内皮細胞と深層実質を移植します

DMEK:DMEK (Descemet’s Membrane Endothelial Keratoplasty) は、角膜内皮細胞の障害がある患者に対して行われる角膜移植手術の一種。具体的には、患者の角膜内側にある内皮細胞だけを取り替える手術です

角膜内皮移植術:角膜内皮移植術は、角膜の内皮細胞に障害がある患者に対して行われる手術。この手術は、内皮細胞の機能を改善し、視力を回復させることを目的としています。DSAEKとDMEKの2つがあるという事ですが、最近では、レシピエント内皮を除いてから、ドナー内皮の浮遊液を移植する方法があるようです。

小児眼瞼角結膜炎(BKC) Blepharokeratoconjunctivitis

 

 

 

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