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[No.2884] 今日は重陽の節句です。(最善の日ですが、下落の始まりでも)

今日は重陽の節句です。この日は非常に縁起の良い日とされていますが、「陽」が極まると「陰」に転じるともされ、物事の下落の始まりとなる可能性もあります。

重陽の節句(ちょうようのせっく)は五節句の一つで、毎年9月9日に祝われます。この日は古代中国の陰陽思想に基づいており、奇数を「陽」、偶数を「陰」と捉える中で、特に「9」は最大の陽数とされています。9月9日は「陽が重なる日」、つまり「重陽」と呼ばれ、非常に縁起が良い日とされていますが、一方で陽が極まるため、物事が過度になることを避けるためにも、災いが生じる不吉な日と見なされることもありました。

そのため、中国の宮廷では重陽の日に菊の花を用いて邪気を払う風習が生まれました。菊は長寿の象徴であり、不老不死や健康を願う意味が込められていました。菊を飾り、菊の花びらを浮かべた酒「菊花酒」を飲むことで邪気を払い、健康を祈りました。この風習は日本にも伝わり、重陽の節句として定着しました。

日本では平安時代から貴族社会に広まり、宮中行事として盛大に祝われるようになりました。特に「観菊の宴」では、菊花酒を飲みながら和歌を詠むという優雅な風習が主流となりました。江戸時代には五節句が公式行事として定められ、重陽の節句は「菊の節句」として民間にも広がり、菊を飾る風習が一般に定着しました。

また、秋の味覚や香りを楽しむ風習も重陽の節句に加わり、栗ご飯や菊湯などが取り入れられました。菊の花には目の健康を守る効果があるとされ、漢方では菊花(きっか)茶が目に良いとされています。菊花には抗酸化作用があり、目の疲れやドライアイ、視力の低下に対して効果があると言われています。現代では、パソコンやスマートフォンの使用が多いことから、菊花を使ったサプリメントやお茶が視力保護のために人気です。

食用の菊の花も「もってのほか」や「阿房宮(あぼうきゅう)」などの品種が知られています。観賞用の菊とは異なり、食用に栽培された種類で、主に黄色や紫色の花びらが使われます。これらは刺身のつまや和え物、天ぷらとして食されることが一般的です。菊の花びらは、ほのかな苦味とシャキシャキした食感が特徴で、ビタミンAやカリウムなどの栄養素を含み、抗酸化作用もあります。

現代においても、重陽の節句は一部の地域や文化的な場で祝われ続けています。知名度は低くなりましたが、菊花展や観菊の催し物など、秋の風物詩として菊を楽しむ文化は今も根強く残っています。長寿と健康を願う日として、重陽の節句は今後もその意味を深めながら継承されていくでしょう。

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