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[No.3296] 首を巡らせば七十有余年:良寛

この漢詩は私の父がその年のころに和紙に筆で清書したものです。私もその年齢になりました。首を巡らせば七十有余年人間の是非看破に飽く、往来の跡は幽かなり、深夜の雪、一柱の線香古窓の下、良寛:この出典、全文、そして現代語訳を調べてみました。

 

この詩は、良寛の作とされる漢詩の一節ですが、良寛の詩として正式に確認されているものではなく、後世の伝承や解釈による可能性もあります。ただし、良寛の詩風に似た内容であり、彼の思想や晩年の心境をよく表している詩として扱われています。

原文(全文)

首を巡らせば七十有余年

人間の是非看破に飽く

往来の後は幽かなり

深夜の裄、一柱の線香古窓の下

現代語訳

「ふと首を巡らせて振り返ると、私はすでに七十年以上も生きてきた。

人間の是非や善悪については、もうすっかり見抜き、飽きてしまった。

世間の喧騒を離れた今は、静寂の中にいる。

深夜、袖を通した衣のひんやりとした感触を感じながら、

一本の線香の煙が静かに立ち昇る、古びた窓の下で。」

別バージョンとして、次の物もあるようです。 この方がしっくりくる気もします。

解説

この詩は、晩年の良寛が人生を振り返り、世俗の争いや価値観から距離を置き、静かな余生を送る心境を詠んだものと解釈できます。

 

「七十有余年」:70年以上の人生を回顧する。

「人間の是非看破に飽く」:世間の善悪や評価について考えることに疲れ、悟った心境。

「往来の後は幽かなり」:世間の喧騒から離れ、静寂の中に生きる。

「深夜の裄」:深夜に袖を通す衣の冷たさが、静寂の象徴。

「一柱の線香古窓の下」:夜更けに一本の線香を焚き、古びた窓の下で静かに過ごす姿が描かれる。

この詩には、仏教的な悟りと、孤高の境地が漂っています。良寛の詩には、しばしば「無欲・静寂・風流」といった要素が含まれますが、この詩もまた、そのような境地を詠んだものと言えます。

 

 

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