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[No.1120] 食品ロスがもたらす多大な損失  食の不平等、経済的損失、気候変動:井出留美

清澤のコメント:食べ物が足りなくなる前にという特集で:「食品ロスがもたらす多大な損失・食の不平等、経済的損失、気候変動」食品ロス問題ジャーナリスト、井出留美さんの記事が月刊保団連11月号に出ています。この話題を抄出して採録してみます。

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著者 井出留美 東日本大震災の食糧支援で食料廃棄に衝撃を受け(株)office 3.11設立。2019年食品ロス削減推進法に協力。著書に「食べ物が足りない!」、「SDGs時代の食べ方「捨てないパン屋の挑戦」「食糧危機」など。

 

十分な食べ物を得られない人々が世界に8億人以上いる一方で、年間生産量の3分の1もの食料が廃棄されている。その多大な経済損失のみならず、気候変動にも大きな影響を及ぼしているため、その削減が大きな課題になっている。日本でも欠品ペナルティーや3分の1ルール、コンビニ会計など独特な商習慣を背景に、多大な食品ロスが発生。また、日本の食品ロスの半分近くが家庭から発生しているため、私たち消費者の行動も問われている。

 

 食品ロスとは、まだ食べられるにもかかわわらず、様々な理由で捨てられる食品を指す。日本の場合、可食部(食べられる部分)を指し、不可食分は含まない。「フードロス」は、国連の食糧農業機関(FAO)の定義によれば、食料の生産地から消費者までの一連の流れの前半で発生する廃棄物。後半で発生するものを「food wasteフードウェイスト」と呼ぶ。著者は食品ロスが適切と思う。

生産の3分の一が食品ロスに。13億トン。FAOの値には農地で捨てられる12億トンが含まれない。

経済的損失は350兆円:

十分な量があるのに食料が入手できない。:飢餓人口は82800万人。食の不平等、不均衡が起こっている。

日本の食品ロス半分は家庭から:日本の食品ロスは522万トン。家庭から47%、事業者から53%。世界の食糧援助量は440万トン。収穫量が多いためつぶされる生産調整は含まず。港で捨てられる未利用魚も同様。全国備蓄の食料品の賞味期限切れもロスには含まず。

十分に食べることができない子どもたち。:貧困線以下で暮らす人。貧困線は所帯所得中央値の半分。これが子供の7人に一人。

食品ロス削減の目標をどう立てるか:

食品ロスを生み出す日本の商慣習

必要以上に作らざるを得ない構造:事業系の食品ロスは商慣習が一因。欠品ペナルティーがある。

賞味期限内でも納品・販売できない。賞味期限までの期間を3等分し、最初の3分の一を「納品期限」、3分の2を「販売期限」として管理する商慣習。2013年に年間1200億円以上の損失。日付後退品の納品拒否という問題も。

廃棄した方が本部が儲かる「コンビニ会計」:全国コンビニで一店舗当たり年間468万円の食品を廃棄している。見切り販売をするより、廃棄した方が本部の取り分が多くなるしくみ。廃棄しても(万引きされても)本部には同様の利益が入る。

食品ロスを減らすと経済が縮むのか?:消費期限ぎりぎりまで販売したら食品ロスは10%、売り上げは5.7%増加という例もある。

燃やせば済む問題ではない:

温室効果ガスで「気候変動」にも影響

人々の意識が変わり、行動が変わる。3010運動(さんまるいちまる運動):宴会の最初30分と最後10分はおしゃべりを控えて食べることに集中しようという動き。

買い物のときに棚の奥から買いますか?コロナ禍の英国やイタリアでは家庭の家庭の食品ロスが減った。理由は「買い物に行きづらくなった」から。

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