清澤のコメント:九州の眼鏡店の店主さんが、「外と室内で、モノの色が違って見えるのは?」というコラムを発表しています。(⇒リンク)https://mbp-japan.com/fukuoka/meganenotoraya/column/5125293/
その中で、著者の豊福祐史さんは「屋外と屋内で色が違ってみる理由」として、認識する色が違うのは、様々な要因が重なっておきますけど、大きくは2つと思います。一つはもちろん光の量、もう一つは演色性(Ra)の違いです。光の量はともかく、演色性は、なかなかイメージしにくいですが、簡単にいうと太陽光とは構成する波長が違うということになります。と説明しています。この演色性という言葉についてもう少し調べてみました。その意味するところや計算式が書いてありました。ヒカリイクというサイト(⇒リンク)にはさらに詳しい記載がありました。
なお、現在の自由が丘清澤眼科に新たに眼科明室診察室を作った時に、照明についても検討しましたが、出来上がってみると当医院は「普通よりは視力を測定するには多少明るめ」という指摘をした眼鏡店店員さんもおられました。日本工業標準調査会JISで、眼科の視機能検査室は5000から10000ルクスと一番明るく設定されていますが、50ルクスまで調光できることが望ましいとされていました。店員さんの意見はその点に関する指摘だったのかもしれません。(http://www.eco-glass.com/ibox/data/lux-standard/08-01-30_lux-standard04.pdf 下表リンク)当医院の照明はLEDですがその区分が演色型のどれであるかまでを私は把握しておりません。
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演色性とは 2022.6.1
物体の色の見え方は、その物体を照らす光によって変化する。このように、色の見え方に影響する光の性質を「演色性」という。演色性は、快適な照明環境をつくり出す上で重要なポイントの一つだ。要点を採録してみよう。
演色性と光色の違い
演色性と光色は、どちらも色にまつわる指標だが、全く異なる。
光色
“光そのもの”の色。青っぽい光や赤っぽい光など。光色は、色温度(単位は[K(ケルビン)])で表される。
演色性
光によって照らされた、“物体の色” に及ぼす効果。
物体の色の見え方が基準となる光に近いと「演色性が高い(画像右)」、基準となる光からかけ離れた見え方であれば「演色性が低い(画像左)」と評価する。演色性を数値で表すには、JIS(日本産業規格)が定めた平均演色評価数[Ra(アールエー)]及び特殊演色評価数[Ri(i=1~15)]を用いる。
光色は、光源から放射される光を直接評価するが、演色性は、光源から光が物体に照射され、そこから反射された光を評価する。光色と演色性に関連性はなく、光色によって演色性が変化するわけではない。
平均演色評価数と特殊演色評価数
演色性は、JISで定められた基準光と15種類の試験色(No.1~No.15)を用いて評価する。基準光での色の見え方を最大値100とし、評価対象の光源が試験色を照明したときに生じる、色の見え方のずれを演色評価数として表す。ずれが大きいほど、演色評価数の数値は小さくなるため、15種類のテストをそれぞれ100点満点で採点されるイメージだ。
8種類の試験色(No.1~No.8)における演色評価数を平均したもの。
特殊演色評価数(Ri)
試験色ごとの演色評価数。平均演色評価数Raに加えて、赤(No.9)、黄(No.10)、緑(No.11)、青(No.12)、西洋人の肌色(No.13)、木の葉の色(No.14)、日本人の肌色(No.15)という、私たちの生活において身近かつ重要な色に対する評価を表す。
演色性は、人が感じる好ましさや不快さについては一切考慮されていない。また、色温度が異なる二つの光源の演色性の比較にはあまり意味がない。 演色性とはあくまで色の忠実性を示した参考値であることを理解した上で取り扱う必要がある。
用途に応じた、演色性の推奨値
JISでは、平均演色評価数が80未満の光源は、仕事をしたり、長い間滞在する室内では使用しないことが望ましい、とされる。また、作業内容や空間の用途に応じて、平均演色評価数の最小値が示される。
平均演色評価数の推奨最小値
さらに、2019年にはJISが改正され、LEDにおける演色性区分が明記、普通形と高演色形(クラス1~クラス4)における平均演色評価数及び特殊演色評価数の最低値が示されている。4)
LEDの演色性による区分
普通形
普通形は、屋外での電気・機械設備の点検、修理、取付けなどの細かい作業を行う場合、屋内又は屋外でスポーツを行う場合、屋内で普通の視作業、やや粗い視作業、軽い視作業を行う場合などに推奨される。
高演色形 クラス1
クラス1は、事務所などにおける事務作業、工場における組立作業又は検査、学校における授業、住宅における勉強又は家事などの屋内でのやや精密な視作業を行う場合などに推奨される。
高演色形 クラス2
クラス2は、事務所、住宅などで色を用いたコミュニケーション又は顔を見てのコミュニケーションを伴う作業、工場における色が重要な組立作業又は検査、医療機関などにおける診察、店舗などで商品、顔などの色の見えが重要視される販売又はサービス提供を行う場合などに推奨される。
高演色形 クラス3
クラス3は、美術館、博物館などで美術品を展示、鑑賞する場合などに推奨される。美術館又は博物館において照射光による展示物の損傷が懸念される場合には、白色(W)、温白色(WW)又は電球色(L)を用いることが望ましい。
高演色形 クラス4
クラス4は、色比較用ブースを用いて表面色の色検査を行う場合など、特に色再現の忠実性が求められる場合に推奨される。塗装物、染色物、印刷物などの物体の表面色を視感によって比較する場合には、昼光色(D)又は昼白色(N)を用いることが望ましい。(中略)
例えば、「顔を見てのコミュニケーションを伴う作業」では、高演色形クラス2(平均演色評価数Raの最低値は90、R15の最低値は85)が推奨される。
快適で心地良い照明環境への一歩として、その判断材料に演色性を取り入れてほしい。
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