清澤のコメント:井原忠政著、三河雑兵心得 足軽仁義(二葉文庫)を読んでいます。2020年文庫書下ろし時代小説ベストテン第一位。主人公の茂兵衛は父を亡くし、母と弟それに3人の妹と暮らす粗暴な若者。弟をいじめた村の3人を相手に喧嘩をし、その一人を殺してしまったことから村にいられなくなり、弟を連れて村を出ます。
「倉蔵のような根性は、茂兵衛の美意識からは到底許しがたいものだった畦を追いかけ、瞬時に追いつき、ひょこひょこと左右に揺れる頭を慎重に狙って薪を振り下ろした。、、脳天にきつい一撃を受けた倉蔵が崩れ落ちたのを見て、背後で弥助と小吉が、田んぼの中を這うようにして逃げ始めた。」、、「けんかの後、兄弟はちゃんと歩いて家に帰ったそうな。倉蔵は『茂兵衛に殴られた頭が痛い』と訴えてはいたが、昨晩は食事もとり、普通に床に就いたらしい。ところが今朝、倉蔵は寝床の中で冷たくなっていたのだ。」
この記述、「意識清明期」があることなどまさに急性硬膜外出血ですね。頭蓋骨と硬膜の間に溜まった血腫のことを指します。 骨折した頭蓋骨からの出血や、硬膜と頭蓋骨の間を走っている“中硬膜動脈”という血管が切れることが原因になることが多いそう。 つまり頭蓋骨骨折があれば起こす可能性が高いと言えます。⇒慶応大学脳外科の記述を参考に下で復習してみましょう。治療法は大きく開頭して血種除去の上出血した血管を止血すること。老人に見られやすい慢性硬膜下出血で穿頭しドレナージをするのとは違うようでした。
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