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[No.95] ミクリッツ病ないしIgG関連眼症とは?

清澤のコメント:IgG4がその発症に関連し、涙腺や唾液腺の腫脹を示す疾患にミクリッツ病があります。眼科では長年この疾患がミクリッツ病として扱われてきました。実地の医療ではミクリッツ病としての認識が重要と思われるので難治性疾患研究班情報のページを先に抄出しておきましょう。血中のIgG4が高値であったり、組織標本でIgG4が証明されることで、その 診断は確定されます、鑑別すべき疾患の除外は重要です。実際に私の見ている患者さんにも、20年以上前に当時の医学知識で「炎症性偽腫瘍」と診断して症例報告までさせていただいた患者さんが居ました。今までずっと診察とステロイド治療を増減し続けて、仕事を続けながらその状態を保つことができました。ようやく最近になって検査可能になったgG4で高値が見つかって、IgG4関連疾患による眼窩炎症性疾患であったと分かりました。

1) ――――ミクリッツ病――――

難治性疾患研究班情報(研究奨励分野) >>

免疫系疾患分野|ミクリッツ病(平成22年度) みくりっつびょう

 

  1. 概要

涙腺・唾液腺の持続性腫脹を呈する一群。従来、シェーグレン症候群と診断されていた患者のなかにみられる場合がある。シェーグレン症候群とは異なり、高IgG4血症を呈すること、口腔乾燥症状や涙液低下などシェーグレン症候群に似た症状を呈するもののステロイドに対する治療反応性が良好で腺機能の良好な回復が見られることが特徴である。高IgG4血症を呈するIgG4関連疾患:自己免疫性膵炎、自己免疫性下垂体炎、リーデル甲状腺炎、間質性肺炎、間質性腎炎、後腹膜線維症などをしばしば合併する。

 

  1. 疫学

現在までに大規模な疫学調査はされておらず、その詳細は不明である。国内における疫学的解析を実施している。解析により全国均一に症例が報告されていることが判明した。サブ解析では、合併症に悪性腫瘍(固形癌)も多いことが判明し、臨床の現場で喚起される事項として挙げられる。

 

  1. 原因

IgG4が病態に関与しているものと推察されるが原因は国内外において明らかにされておらず、診断法も確立していない。われわれが行った治療前後のミクリッツ病患者のリンパ球におけるDNAアレイ解析の結果、アレルギーの関与が示唆されるものの、発病に直接関与する分子や発病の機序は明らかになっていない。

 

  1. 症状

唾液腺、耳下腺、顎下腺、舌下腺、涙腺の無痛性、対称性の腫脹および乾 燥症状。その他合併したIgG4関連疾患による。従来、シェーグレン症候群と診断されていた患者のなかにみられる涙腺・唾液腺の持続性腫脹を呈する一群。 口腔内乾燥症状や涙液低下などシェーグレン症候群に似た症状を呈するもののステロイドに対する治療反応性が良好で腺機能の回復が見られることが特徴的である。以下にあげる高IgG4血症を呈するIgG4関連疾患をしばしば合併する。

 

  1. 合併症

自己免疫性膵炎、自己免疫性下垂体炎、リーデル甲状腺炎、間質性肺炎、間質性腎炎、後腹膜線維症など

 

  1. 治療法

シェーグレン症候群と異なり、ステロイド治療により、腺腫脹が速やかに 消退し、腺分泌能の改善が認められることが明らかになっており、ミクリッツ病の治療はステロイド剤が主体となる。現在のところ重症度と投与すべきステロイドの量を定めた治療指針はいまだ無く世界的な治療指針を定める必要がある。札幌医科大学第一内科では、ミクリッツ病の腺腫脹に対して、臓器障害を伴わない場合はprednisolone 0.6 mg/kgすなわちprednisolone 30~40 mg/日から開始する。複数の臓器障害を伴う場合は1 mg/kgまでの増量を考慮し、初期量を4週間継続する。ステロイド剤を中止した例では腺腫脹の再燃および血清IgG4値の増加が見られることから、 prednisolone を10%ずつ2週間ごとに減量していき、5~7.5 mg/日程度の維持量が必要であると考える。またステロイド減量による再発もみられ減量法およびステロイド維持量に関しても世界的治療指針を確立し、認知・普及を行う必要がある。またアレルギーの関与が指摘されているためステロイド以外の薬剤が奏功する可能性もあり今後検討が必要である。

 

  1. 研究班

ミクリッツ病およびIgG4関連疾患の診断および治療方法の更なる推進に関する研究班がある。

https://www.kiyosawa.or.jp/uncategorized/36810.html/

 

2)IgG4関連疾患には最新の診断基準および分類基準(日本IgG4関連疾患学会)もある。

 

2020改訂 IgG4関連疾患包括診断基準(https://igg4.w3.kanazawa-u.ac.jp/reference/)を短縮してここに採録する。

臨床的及び画像的診断

単一または複数臓器に特徴的なびまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を認める

病理学的診断:以下の3項目中2つを満たす。

1)著明なリンパ球、形質細胞の浸潤と線維化を認める

2)IgG4陽性形質細胞浸潤:IgG4/IgG陽性細胞比40%以上かつIgG4陽性形質細胞が10/HPFを超える

3)特徴的な線維化、特に花莚状線維化あるいは閉塞性静脈炎のいずれかを認める

1+2+3を満たすもの⇒確定診断群(definite)

1+3を満たすもの⇒準確診群(probable)

1+2を満たすもの⇒疑診群(possible)

本基準で、準確診群(probable)、疑診群(possible)であってもIgG4関連疾患臓器別診断基準で確定診断されたもの(**)は、IgG4関連疾患確診群(definite)と判断する。

**IgG4関連臓器別診断基準:

① 自己免疫性膵炎診断基準

IgG4関連ミクリッツ病診断基準

③ IgG4関連腎臓病診断基準

④ IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準

⑤ IgG4関連眼疾患診断基準

⑥ IgG4関連呼吸器疾患診断基準

⑦ IgG4関連大動脈周囲炎/動脈周囲炎および後腹膜線維症診断基準

 

注釈2除外診断

1) できる限り組織診断を行い、各臓器の悪性腫瘍(癌、悪性リンパ腫等)や類似疾患(シェーグレン症候群、原発性硬化性胆管炎、キャッスルマン病、二次性後腹膜線維症、多発血管炎性肉芽腫症、サルコイドーシス、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症等)を鑑別することが重要

2) 高熱、高CRP、好中球増多等を呈する場合、感染性・炎症性疾患を除外することが重要である。

注釈3病理学的診断

1) 経皮・内視鏡下針生検に比べ、摘出・部分切除標本では、IgG4陽性細胞数は通常多く認められる。

2) 花筵状線維化(storiform fibrosis)は、炎症細胞浸潤と小型紡錘形細胞からなる花筵状の錯綜配列を示し、様々な程度の線維化を伴う病変である

 

注釈4ステロイド反応性

IgG4関連疾患は、通常、ステロイド治療に良好な反応性を示すが、診断的治療を積極的に推奨するものではない。できる限り組織診断を加えて、各臓器の悪性腫瘍や類似疾患と鑑別することが重要。

 

悪性腫瘍

癌、悪性リンパ腫など

類似疾患:Sjögren症候群、原発性/二次性硬化性胆管炎、キャッスルマン病、二次性後腹膜線維症、多発血管炎性肉芽腫症、サルコイドーシス、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症など

また、比較的生検困難な臓器病変で、十分な組織が採取できず、本基準を用いて臨床的に診断困難であっても各臓器病変の診断基準を満たす場合には診断する。

 

臓器病変

膵、胆道系、中枢神経、後腹膜、血管病変など

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