眼科医療経済等

[No.1906] 米国軍人の退役時健康評価、特に軍関係の性的トラウマとは:

私はここ数年来米国軍(陸海空軍、海兵隊、沿岸警備隊、NASA)から退役する兵士の退役時の健康評価を引き受けて行っています。最近もその資格維持のためにいくつかのタイトルの講義を受けさせられていました。最新のものは、「軍事性的トラウマ(military sexual trauma)と障害検査プロセス」というタイトルのオンライン学習モジュールでした。その内容は、日本ではあまり考えられないものです。

先ず、米軍のMSTmilitary sexual trauma:米軍に関連した性的な外傷)を「元軍員が勤務中に発生した性的性質の身体的暴行、性的性質の暴行、またはセクシャルハラスメント」と定義しています。MST(軍事性的トラウマ) を経験した人は、その経験からさまざまな形で影響を受ける可能性があります。 MSTを経験した人は、長期にわたる身体的および精神的健康状態に悩まされる人もいます。退役軍人病院での調査では、そのすべてがレイプ事件なわけではないですが、なんと女性の 28.6%(軍人65,542)と男性の 6.5% (軍人69,975 )が、過去1年間にセクシャルハラスメントを経験したと驚くべき高値で回答しました。そのような症例に対して、国防総省と契約した米国人および外国人の評価員(evaluator)がどのように対応すべきかを教えています。例えば①加害者を明らかにし司法が介入するような形の対応でも、②犯人である上司や同僚にも知られないようにしながら本人が(PTSDなどの)補償を受けられるような対応でも、患者の意思で選べる仕組みが完成されています。ここではPTSDとの関連が非常に重視され補償に道が開かれています。そこで、刑事事件として加害者に訴訟を起こすしかないといった日本政府での対応との差に大変驚きました。

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