全13巻の高田郁著の宝暦年間の江戸での時代小説文庫です。「買うての幸い、売っての幸せ」という商人道が全編を貫くキーワード。昨晩読み終わりました。
(★続編が出版されていることに気が付き早速購入して読み始めています。)
「『好事、魔多し』という言葉もあります年の瀬は何かと気忙しく、諍いも起こり易い。お互いの気持ちを引き締めて、過ごさねばなりません。」という言葉が出てきます。
ーーーー 家持の多い大阪では、その家屋敷が今、誰の持ち物であるかを明らかにするため、「水帳」と呼ばれるものを町内、町奉行所、想会所に備えてある。売り買いは必ず水帳に反映されるため、それを見れば、どのように持ち主が映ったのかがわかる仕組みであった。
江戸では、沽券状の控えに添えて、持ち主の移り変わりのわかる文書や、細々した証文をひとまとめにした沽券帳というものを名主が作成、保管すると聞くが、それを実際に見ることは容易ではない。ーーー
江戸時代の江戸での不動産売買で、主人公の幸らは、新店を出すにあたって家屋の二重売買詐欺にあってしまいます。江戸時代の謀書謀判は今以上の重罪ですが、大変な目にあいます。しかもそれに多重に身内が絡んでいるというストーリーです。落ちは必ずしもハピーエンドでもないのですが、
★ 好事魔多し:意味は、“調子が良いときほど、邪魔が入ること”です。主に戒めの言葉として使われます。幸運に恵まれたり、物事が上手く運び出したようなときほど、思いも寄らない邪魔が入ったり、喜ばしくなくアクシデントが起りやすい、ということを言っています。これは良いときに必ず何か邪魔が入る、ということを言っているのではなく、幸運に浮かれて足元をすくわれないように気を引き締めるべき、という意味で使われる言葉です。
★謀書謀判:文書や印章の偽造のこと。謀書・謀判は重大な犯罪とされ,律令時代では遠流と定められた。鎌倉幕府の『御成敗式目』は所領没収の罰を定めた。江戸幕府の『御定書百個条 (→公事方御定書 ) 』は死刑 (引廻のうえ獄門 ) の罰を定めている。明治以降,刑法に文書偽造罪,印章偽造罪が規定された。
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