ベテラン社員の解雇を中心とした固定費削減で収益を確保

 ここでも行き過ぎた経営の合理化が安全管理を怠り、結果として偶発的なヒヤリハットがそのまま最悪の事態になってしまうケースのように見えます。ー中略ー

 以前にも座礁事故を起こして処分と再発防止の計画書を出していたとか、予兆となる事案から対策が打たれずそのままになっていたのだとすれば、観光船運営会社の責任が追及されるのも当然のことと言えます。

 また、この観光船運営会社はもともと赤字で、著名な経営コンサルタント会社が関与することで経営が立て直されたと豪語し、自画自賛するような記事が経済系ニュースサイトに掲載されていたことも明らかになっています。経営改善の過程でどのような助言が行われたのかは定かではありませんが、そこでの記述を見る限りでは、経営再建のためにベテラン社員の解雇を中心とした固定費削減で収益を確保するタイプのリストラが行われていたことは間違いなさそうです。

 実のところ、不振会社を買収して経営者を入れ替え、収益化させて第三者に売却するという、俗にいう「ターンアラウンド(企業再建)案件」というものは以前からずっとあります。企業・法人においても、経営不振に陥っているけど売り上げはしっかりある老舗というものはたくさんあり、それらは往々にして前経営陣が人情や業務上の問題で古株の社員を解雇できなくて人件費の重みゆえに不採算だという事例が多くあります。