日常的サングラス着用のススメ…警察でも勤務中の着用を“公認”
最新のサングラスが揃うパリミキ渋谷店(C)日刊ゲンダイ
全国的に気温が上がり、暑さを感じる季節がやってきた。気になるのが紫外線だ。地表に到達する紫外線には2種類あり、皮膚の奥底の細胞まで到達するUVAは5月が1年間で最も強くなる。 目の健康のための紫外線対策として真っ先に思い浮かべるのはサングラスだ。かつては「怖い」「いかつい」イメージがあった。しかしいまは違う。お堅いといわれる公務員の中にも勤務中のサングラス装着を認められるケースが増えている。たとえば警察官だ。昨年7月の富山県警の交通部門の警察官に続き、同9月に長崎県警、今年1月からは福井、千葉の各県警でも一部もしくは全職員の勤務中のサングラス着用の基準を明文化し、実施している。勤務中のサングラス着用については、すでに全国の鉄道の運転士や保安員、バスの運転士などの公共交通機関で採用されたり、実証実験などが進んでいる。 ここにきて勤務中のサングラスを公認しようとする理由はなぜか? ひとつは地表に降り注ぐ紫外線量が年々増えているからだ。気象庁のホームページ内の「紫外線の経年変化(国内)」によると、定点観測している茨城県つくば市に到達する紅斑紫外線(波長により異なる人体への影響を考慮して算出した紫外線)量は1990年の観測開始以降、増加しており、増加率は10年あたり4.6%になっている。「自由が丘清澤眼科」(東京・目黒区)の清澤源弘院長が言う。 「適切な量の太陽光を浴びることは良質な睡眠や近視予防につながるだけでなく、皮膚にとりついた微生物を除去するのに有用です。しかし、過度な太陽光は目を痛めるため、避けなければなりません」 実際、太陽光の中で目に見えない、波長の短い紫外線を大量に浴び続けると、白内障や翼状片などの目の病気になることが知られている。 「とくに多いのは白内障です。高齢者の病気だと思われがちですが、農業や漁業など屋外労働者、屋外スポーツ選手などは発症リスクが高いとされています。ですから紫外線対策としてサングラスの着用が勧められています。ちなみに、冬はサングラスが不必要と思われがちですが、UVAは冬でも地表に降り注いでおり、雪国では雪の反射で目をやけどする雪目になる場合もあります」 ■子供たちにも目の教育を 働く人の目の健康のために就業中のサングラス着用が認められつつあるのなら、紫外線リスクのある人は真似しない手はない。いまはどのようなタイプのサングラスがあるのか? 眼鏡専門誌「THE EYES」を出版する「興隆出版社」の原征也氏が言う。 「真っ黒のレンズで表情がわからないタイプだけではありません。紫外線量によってレンズの色の濃度が変化する調光レンズを使えば、屋内など紫外線の当たらない場所では普通の眼鏡で、屋外ではサングラスの働きをするタイプもあります。紫外線の量を抑えるだけでなく、路面の照り返しや水面のぎらつき、車などのフロントガラスの映り込みなどを抑えて快適な視界が得られる偏光レンズを使ったサングラスや、ハイカーブサングラスといって視界を広くした形状のフレームに対応した、ゆがみの少ない、スタイリッシュなサングラスなどもあります。サングラス用カラーレンズも多様に揃っているので近くの眼鏡専門店で相談するのが一番です」 近視の人の中には、度付き眼鏡をかけているので度なしサングラスはかけられないという人もいるが誤解だ。眼鏡の上からかけられる「オーバーグラス」と呼ばれる商品やクリップオンといって度付き眼鏡のレンズに合わせて使えるサングラス用前がけもある。 原氏によれば、目の大切さは、小さい頃から教えておくことが大切で、視力矯正の眼鏡と同時にサングラスも、どのようなときに必要であるか、おしゃれに着こなすファッションの面も含め子供たちに教えるべきだという。 「昔、イタリアに行ったときに校外学習の児童たちはサングラスをかけていました。国際化が進む日本でも、サングラスの知識は必要だと思います。また、22年から眼鏡技術者の国家検定『眼鏡作製技能士』という制度ができました。眼鏡を作る仕事は大変難しい専門職です。眼鏡作製技能士のいる専門店でサングラス選びをするのが機能性、ファッション面からも安心して自分に合ったサングラスが選択できると思います」
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