神経眼科

[No.251] 眼の疼痛に使われる薬剤など:再訪

2020年12月21日の清澤眼科医院通信に「12517:慢性的な目の痛み(眼痛)及び頭痛に使える薬剤は?」というものがあります。
当時は、神経内科医を南砂清澤眼科外来に配していましたので、眼瞼痙攣などに伴う疼痛に対する治療も自分の医院の守備範囲にしておりました。今回、米国眼科学会から「麻薬中毒者を作らないために、オピオイドの使用を最小限に」という記事が送付され、その話題が「日刊ゲンダイ」に取り上げられます。疼痛は3種に分けられ、使われるべき薬剤も異なります。そのあたりを理解するには清澤眼科医院通信に掲げた次の2報が参考になるでしょう。
ーーーーーーーー清澤のコメント:眼瞼痙攣を始め、当医院を受診する患者さんには慢性的な目(や頭)の痛みを主訴として訴える方が少なくありません。そのような患者さんでは、まずドライアイ、角結膜異物、それに睫毛内反などの直接的な痛みを起こす疾患を考えて対応しますが、それでも痛みがとれない場合には、鎮痛剤に属する内服薬を神経内科に依頼して処方してみていただく場合があります。それなりの治療効果が上がっています。今回、それらを紹介する文章を担当医が用意してくれたので紹介してみます。これは公式の見解というよりは、処方を受けている患者さんに自分の出されている薬を多少でも理解していただくための記述です。その点もご理解の上で参考になさってください。眼痛に使用する薬剤について          2020/12/20・目の痛みに直接よく効く内服があるわけではないので、頭痛・全身疼痛などに対する痛み止めの中から症状に少しでも効果がありそうなものを使用しています。

〇屯用薬:痛みがあるときのみ使用します。痛みがない時に内服しても予防効果はありません。

・カロナール(アセトアミノフェン):副作用がほとんどないので最初に使います。屯用薬です。効果がとても高いわけではありませんが、1日に2-3回毎日使用することもできる使いやすい薬です。

・ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物):カロナールでは効果が不十分な強い痛みに屯用で使います。連用すると胃や腎臓に副作用があるので毎日使用することはお勧めできません。

〇予防薬:毎日飲み続けることで痛みの頻度や強さを和らげる目的です。痛みがなくても毎日飲む必要があり、眠気やふらつきが出ることがあるので、屯用薬が効かない場合に使用します。

・トリプタノール(アミトリプチリン塩酸塩脳内のノルアドレナリン、セロトニンの再取り込みを阻害):古くから慢性頭痛の予防薬として使用されており安全性が高いです。眠気の副作用が必ず出るので、少しずつ増量して最適な用量を決めます。量が増えてくると口が乾く副作用もあります。

・リリカ(プレガバリンカプセル):神経障害性疼痛の治療薬で、ビリっとしびれるような神経痛にはとても良い効果があります。目の痛みや頭痛には効果があることとないことがあります。眠気の副作用があります。

・サインバルタ(デュロキセチン塩酸塩):主に手足の慢性的な強い痛みに使われることが多い薬です。目に効果があるかどうかは使用してみないとわかりませんが、場合によってはトリプタノールやリリカで効果がない場合でも効果がでることが期待されます。内服開始早期に、気分の浮き沈みや吐き気などの副作用が見られることがあります。作用は脳内でセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害、憂うつな気分を和らげ症状を改善するとされています。

・デパケン(バルプロ酸ナトリウム):片頭痛の予防薬として使用されることがある薬です。片頭痛に併発する目の痛みに効果があることがあります。副作用は眠気が主です。作用は抑制性神経伝達物質γ-アミノ酪酸(GABA)濃度を上昇させるほか、ドパミン濃度を上昇、セロトニン代謝促進とされています。

https://www.kiyosawa.or.jp/nerve-cat/46591.html/

Categorised in: 神経眼科

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