糖尿病網膜症・加齢黄斑変性・網膜疾患

[No.2934] 遺伝性網膜疾患の遺伝相談:記事を読んで

遺伝性網膜変性疾患の遺伝相談(藤波 芳 先生):を読んで

清澤のコメント
従来、網膜色素変性症と総称されてきた遺伝性網膜ジストロフィ(inherited retinal dystrophy: IRD)は、ある意味で現代の眼科学研究の花形である。遺伝性の網膜萎縮として、視野狭窄や夜盲を引き起こす疾患群の多くについて、すでに多くの原因遺伝子が同定されている。中には非常に高価な治療法も存在するが、一部は保険適用される遺伝子治療が登場している。我々開業医ができることは、この疾患に該当する患者を認識し、適切な施設に紹介することであろう。幸い、私の医院は東京医療センターから至近の距離にあり、この利点を活かすことができるが、網膜色素変性に対する真の治療法が確立されるまでにはまだ時間がかかるだろう。


遺伝性網膜ジストロフィの現状

遺伝性網膜ジストロフィ(IRD)は、視力低下や夜盲を引き起こす進行性の遺伝性疾患の総称です。特に、日本においてはRPE65遺伝子の変異による治療法「ルクスターナ」が初めて遺伝子治療薬として承認され、眼科治療の一大進展をもたらしました。また、PrismGuideTM IRDパネルシステムによる網膜ゲノム診断の導入により、より正確な診断が可能となり、遺伝相談や治療への道が大きく開かれました。

遺伝相談の役割

遺伝性網膜ジストロフィIRDの遺伝相談は、専門的な検査や診断に基づき、患者とその家族に適切な情報を提供する重要な役割を担っています。問診に加え、家族歴の把握や家系図の作成が行われ、遺伝カウンセリングを通じて、患者や家族が抱える不安や心理的負担にも対応します。カウンセリングでは、病気の進行リスク、治療の可能性、家族内リスクなどが説明され、将来の生活設計にも影響を与えます。

診療体制と専門施設

遺伝性網膜ジストロフィIRDの診断と治療を進めるための診療体制は、先進的な医療施設で行われています。日本国内には、神戸アイセンターや国立病院機構東京医療センターをはじめ、複数の施設が遺伝学的検査と遺伝子治療の体制を整備しています。これにより、患者は専門的な診断と治療を受けられる環境が整っています。

おわりに

遺伝性網膜ジストロフィIRDの遺伝子治療は画期的な進展を遂げましたが、まだ治療法が確立されていない疾患も多く、今後の研究と技術革新に期待が寄せられています。私たち臨床医は、適切な患者を専門施設に紹介し、遺伝カウンセリングを通じて患者とその家族に寄り添うことが重要です。医療技術の進展とともに、個々の患者に最適な治療を提供できる時代が訪れることを期待しています。

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