全身病と眼

[No.2954] 小児慢性特定疾病医療費助成と難病医療費助成はどう違いますか?

小児慢性特定疾病医療費助成制度の指定医の更新申し込みの用紙が都から送られてきました。そこで①小児慢性特定疾病医療費助成制度と難病医療費助成制度の異同を調べてみました。②この両者の指定医が期待される責務も確認してみました。

① 小児慢性特定疾病医療費助成制度と「難病」(難病法に基づく難病患者に対する医療費助成制度)は、同じように医療費助成を目的とした制度ですが、対象や制度の枠組みが異なります。以下に両者の違いを説明します。

1. 対象年齢

  • 小児慢性特定疾病医療費助成制度:

    • 対象は18歳未満の子どもです。特定の慢性疾患にかかっている小児を対象に医療費の助成を行います。
    • 18歳以上になると、原則としてこの制度の対象外となりますが、必要に応じて移行医療の支援が行われます。
  • 難病(難病法に基づく制度):

    • 対象は主に成人を含む全年齢です。この制度は、小児期からの疾患だけでなく、成人期に発症する疾患も対象となります。

2. 対象となる疾患

  • 小児慢性特定疾病医療費助成制度:

    • 対象となる疾患は、主に小児に特有または多い慢性疾患です。これには、先天性心疾患、神経・筋疾患、小児がん、免疫疾患などが含まれます
    • 厚生労働省が定めた小児慢性特定疾病リストに基づいて助成対象が決まります。
  • 難病(難病法に基づく制度):

    • 対象疾患は、いわゆる「難病」とされる、原因不明で治療が難しい疾患です。例えば、パーキンソン病、全身性エリテマトーデス、筋ジストロフィーなどが含まれます。
    • 「指定難病」として**334疾患(2024年現在)**が対象となっており、こちらも厚生労働省が定めるリストに基づいています。

3. 助成内容と申請方法

  • 小児慢性特定疾病医療費助成制度:

    • 小児の慢性疾患にかかる医療費を軽減します。主に指定された小児慢性特定疾病医療機関で診療を受ける際に助成が適用されます。
    • 申請には診断書と自治体への申請書の提出が必要です。
  • 難病(難病法に基づく制度):

    • 成人・小児を問わず、対象となる難病の治療にかかる医療費を助成します。指定難病医療機関での治療が対象です。
    • 同様に、申請には指定医の診断書と申請書の提出が必要です。

4. 助成の目的

  • 小児慢性特定疾病医療費助成制度:

    • 小児に特有の長期にわたる治療が必要な疾患を持つ子どもたちの経済的負担を軽減し、長期療養に耐えうる環境を提供することが目的です。
  • 難病(難病法に基づく制度):

    • 難病患者の治療や生活の質を向上させるため、難病の早期診断、適切な医療を確保し、医療費負担を軽減することが目的です。

まとめ

両者は似た制度ですが、対象年齢や疾患の範囲が異なり、その目的も若干異なります。小児慢性特定疾病医療費助成制度は、主に小児の慢性疾患を対象とし、難病法に基づく助成制度は、全年齢を対象にした難治性疾患に対する助成制度です。

② 小児慢性特定疾病医療費助成制度指定医と難病医療費助成指定医には、それぞれの制度に基づいた責務

対象患者や支援の内容に違いがあります。以下に両者の責務の違いをまとめます。

1. 小児慢性特定疾病医療費助成制度指定医の責務

対象患者: 18歳未満の小児で、厚生労働省が指定した「小児慢性特定疾病」に該当する患者。

責務:

  • 診断および診断書の作成: 小児慢性特定疾病に該当する患者について、正確な診断を行い、必要な診断書を作成すること。これにより、患者が医療費助成を受ける資格を得ることができる。
  • 治療と管理: 小児患者の慢性疾患に対する適切な治療と長期的な管理を行う。特に、成長発達を考慮した治療や生活指導を行うことが求められる。
  • 移行医療の計画: 患者が18歳を超えた際に、成人の医療機関への移行をスムーズに行えるよう、移行医療に関する支援を行う。これには、患者やその家族への適切な情報提供や成人の専門医との連携が含まれる。

2. 難病医療費助成指定医の責務

対象患者: 全年齢の患者で、厚生労働省が指定する「指定難病」に該当する者。

責務:

  • 診断および診断書の作成: 指定難病に該当する患者について、詳細な診断を行い、必要な診断書や意見書を作成すること。これにより、患者が医療費助成を受けるための手続きを行う。
  • 難病治療の継続的管理: 難病患者に対する適切な治療計画を立て、長期にわたり疾患の進行を管理することが求められる。指定難病は慢性的かつ進行性であるため、患者のQOL(生活の質)を考慮した包括的な医療支援が重要となる。
  • 他職種との連携: 難病は多くの医療職種や社会福祉のサポートを必要とするため、他の医療従事者や支援機関との連携が重要な役割を果たす。

共通する責務

  • 患者への説明と情報提供: いずれの制度でも、患者とその家族に対して病気や治療内容、医療費助成制度の説明を行い、理解を深めてもらう責務がある。
  • 医療費助成に必要な手続き支援: 患者が適切に医療費助成を受けられるように、必要な書類の作成や手続きを行う。

主な違い

  • 対象年齢: 小児慢性特定疾病医療費助成は18歳未満の患者を対象とし、難病医療費助成は全年齢の患者が対象です。
  • 移行医療の対応: 小児慢性特定疾病指定医は、成人期への移行をスムーズに行うための移行医療に特に関わりますが、難病指定医にはそのような移行医療への特別な責務はありません。

このように、両者の指定医はそれぞれの制度に基づいて異なる患者層に対する治療と支援を提供しますが、いずれも患者の長期的なケアと支援を重要な責務としています。

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