神経眼科

[No.3504] セマグルチドと視神経症の関連性:最新の観察研究

セマグルチドと視神経症の関連性:最新の観察研究

眼科医清澤のコメント:上記に関して日刊ゲンダイ記者氏からの相談を受け、私なりの見解を述べましたが、その結果は明日の日刊ゲンダイに掲載予定(ネット上の公表は明後日朝)です。また、その過程で、セマグルチドについてはそれなりの規模の調査論文が直近の4月にオフサルモロジー・レチナに出ていることが分かりました。その内容を先に採録いたします。結論としては虚血性視神経炎の発生は、セマグルチド使用者のNAION発症率が10万人年あたり14.5件でわずかに高いですが、それほどの増加ではないと捉えて大丈夫そうです。

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JAMA Ophthalmology最新号に掲載された研究では、糖尿病治療薬セマグルチドと非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)との関係について調査されています。セマグルチドは、糖尿病患者の血糖管理に広く使用されているGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)ですが、近年NAIONの症例との関連性が示唆され、安全性について議論が進んでいます。

研究の概要

  • 対象:2017年~2023年の間に、セマグルチドを使用した2型糖尿病患者約81万人

  • 方法:異なる薬剤グループ(セマグルチド、他のGLP-1RA、非GLP-1RA)間でNAION発症率を比較

  • 結果:セマグルチド使用者のNAION発症率は10万人年あたり14.5件

  • 比較結果:セマグルチド使用者のNAION発症リスクは他の糖尿病薬(エンパグリフロジン、シタグリプチンなど)と比較して大きな差はなし

  • 注意点:自己対照症例集積(SCCS)解析ではNAIONリスクの上昇が示唆され、さらなる研究が必要

臨床への影響と今後の課題

この研究結果から、セマグルチド使用によるNAIONリスクの増加は限定的であるものの、依然としてさらなる検討が必要とされています。特に、高齢の糖尿病患者におけるNAIONリスク評価が重要視されており、今後の研究が安全性の確立に向けて必要です。

糖尿病患者の視神経疾患リスクに関心のある方は、ぜひこの研究を参考にしながら最新の情報に注意してください。

詳しくはをご覧ください。

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