「お食い初め」と赤ちゃんの健やかな成長を祝う – 目にまつわる話題も添えて
最近、旧友から嬉しい知らせを受け取りました。Mさんご夫妻に、元気な赤ちゃんが誕生したとのこと。新しい命の誕生は、何度聞いても心が温かくなります。赤ちゃんの成長を願う日本の伝統行事のひとつに「お食い初め」があります。これは生後100日前後に行われる儀式で、「一生食べ物に困らないように」との願いを込めて、赤ちゃんに初めて食事をする真似をさせるものです。
■ お食い初めの基本
お食い初めでは、赤飯、尾頭付きの鯛、季節の煮物、お吸い物、香の物、そして「歯固め石」などが並びます。これらはすべて、赤ちゃんの健やかな成長や丈夫な歯を願う意味が込められています。お膳や器は、最近では可愛らしいデザインの専用セットも増え、贈り物としても喜ばれるようです。(図は、相陶窯相澤正樹先生の作品)
私自身、友人の赤ちゃんのお祝いにお食い初め用の食器セットを贈ろうかと考えています。華やかな漆器や陶器の膳は記念にもなりますし、最近では名入れサービスもあるそうです。
■ 「目」と「お食い初め」に関係はある?
一見すると関係のないように思える「お食い初め」と「目の健康」ですが、実は深いところでつながっています。というのも、赤ちゃんの目の発達や視機能の成長には、栄養の摂取がとても重要だからです。
たとえばビタミンAは視覚に欠かせない栄養素で、網膜の光受容細胞の働きを助けます。またDHA(ドコサヘキサエン酸)は、網膜の細胞膜の主要な構成成分であり、赤ちゃんの視力や脳の発達にも重要な役割を担っています。
お食い初めの時点では実際に食べることはありませんが、その後の離乳食の時期に入ると、「目の健康に良い食材」を意識した献立も、視機能の発達を支えるポイントとなります。
■ お祝いの場での「目の観察」も大切に
ちなみに、私たち眼科医が注目しているのは、こうしたイベント時に家族や親戚が赤ちゃんの視線や目の動きに気付く機会が増えることです。
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視線が合わない
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片目だけ内側や外側を向いている
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まぶしそうにしている
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白目が青っぽい
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黒目に白い反射が見える
など、小さな兆候でも見逃さず、「何かおかしい」と気づいたときには早めの眼科受診が重要です。
■ 終わりに
お食い初めは、日本ならではの温かい家族の行事です。赤ちゃんの将来を願って、家族が集まり、食卓を囲む時間はかけがえのないもの。そこに目の健康という視点を加えることで、「見る力」も一緒に育むきっかけとなれば幸いです。
新しい命を迎えたご家庭に、心からお祝いを申し上げます。
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