全身病と眼

[No.3862] 眼瞼ヘルペスか?それとも伝染性膿痂疹(とびひ)か?

眼瞼ヘルペスか?伝染性膿痂疹(とびひ)か?

クラブの合宿中に左目周囲に湿疹が出て瞼が腫れたという大学生。視機能などは施錠

臨床経過の要点 (図はEyeRounds Online Atlas of Ophthalmologyから借用)

)

  • 年齢:若年(クラブ合宿中という背景から推察)
  • 部位:左眼周囲(眼瞼皮膚)
  • 経過3日前発症現在は痂皮化、滲出なし
  • 症状:かゆみなし、痛みあり
  • 分布:局所限局、体のほかに同様病変なし

最も考えられる疾患

第一候補

  • 単純ヘルペス(眼瞼ヘルペス)
    • 小水疱びらん痂皮化という典型的経過。
    • 「痛み」が主で「かゆみなし」という点が細菌性皮膚炎や湿疹と違う。
    • 若年者でもよくみられる。

鑑別

  • 眼周囲帯状疱疹:通常は三叉神経領域に沿って多発性に出る。やや強い痛み、時に全身症状あり。
  • 伝染性膿痂疹(とびひ)かゆみ主体で、体の他部位にも広がりやすい今回は否定的。(図はImpetigo Contagiosaより借用)

治療方針

  1. 抗ウイルス薬が基本(内服または外用)
    • ゾビラックス®眼軟膏(アシクロビル軟膏):皮疹部に局所塗布可能。
    • ただし皮膚病変主体の場合、全身投与(バラシクロビル内服など)が標準的。
  2. 抗菌薬の位置づけ
    • 二次感染予防として抗菌薬眼軟膏(例:タリビット®軟膏)は「補助的」には用いることはあります。
    • しかし本質的な治療は抗ウイルス薬であり、抗菌薬内服は通常不要です。
    • 細菌の二次感染が明らかな場合のみ、抗菌薬内服を併用。

まとめ

  • 最も考えられる疾患:眼瞼ヘルペス(単純ヘルペスウイルス感染)
  • 治療
    • 第一選択:抗ウイルス薬(バラシクロビル内服、またはアシクロビル内服)
    • 補助的に:ゾビラックス®眼軟膏塗布
    • 二次感染がなければ抗菌薬内服は不要。タリビット眼軟膏はあくまで二次感染予防にとどまる。
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