眼瞼ヘルペスか?伝染性膿痂疹(とびひ)か?
クラブの合宿中に左目周囲に湿疹が出て瞼が腫れたという大学生。視機能などは施錠
臨床経過の要点 (図はEyeRounds Online Atlas of Ophthalmologyから借用)
)
- 年齢:若年(クラブ合宿中という背景から推察)
- 部位:左眼周囲(眼瞼皮膚)
- 経過:3日前発症 → 現在は痂皮化、滲出なし
- 症状:かゆみなし、痛みあり
- 分布:局所限局、体のほかに同様病変なし
最も考えられる疾患
第一候補
- 単純ヘルペス(眼瞼ヘルペス)
- 小水疱→びらん→痂皮化という典型的経過。
- 「痛み」が主で「かゆみなし」という点が細菌性皮膚炎や湿疹と違う。
- 若年者でもよくみられる。
鑑別
- 眼周囲帯状疱疹:通常は三叉神経領域に沿って多発性に出る。やや強い痛み、時に全身症状あり。
伝染性膿痂疹(とびひ):かゆみ主体で、体の他部位にも広がりやすい → 今回は否定的。(図はImpetigo Contagiosaより借用)
治療方針
- 抗ウイルス薬が基本(内服または外用)
- ゾビラックス®眼軟膏(アシクロビル軟膏):皮疹部に局所塗布可能。
- ただし皮膚病変主体の場合、全身投与(バラシクロビル内服など)が標準的。
- 抗菌薬の位置づけ
- 二次感染予防として抗菌薬眼軟膏(例:タリビット®軟膏)は「補助的」には用いることはあります。
- しかし本質的な治療は抗ウイルス薬であり、抗菌薬内服は通常不要です。
- 細菌の二次感染が明らかな場合のみ、抗菌薬内服を併用。
まとめ
- 最も考えられる疾患:眼瞼ヘルペス(単純ヘルペスウイルス感染)
- 治療:
- 第一選択:抗ウイルス薬(バラシクロビル内服、またはアシクロビル内服)
- 補助的に:ゾビラックス®眼軟膏塗布
- 二次感染がなければ抗菌薬内服は不要。タリビット眼軟膏はあくまで二次感染予防にとどまる。
コメント