神経眼科

[No.719] 心をラクにすると目の不調が消えてゆく:若倉雅登 著の紹介です (眼瞼痙攣抜粋)

清澤のコメント:尊敬する若倉雅登先輩が新しい随筆集を出版されました。題して「心をラクにすると目の不調が消えてゆく」です。添付の信書に曰く「恒常的に視覚に不自由する多くの方に、私なりに向き合いのヒントをお伝えしたいと考えております。」とのこと。このブログでも情報を拡散させていただきます。

 若倉先生は、神経眼科、心療眼科のパイオニアであり、「目と心の健康相談室」の創設者です。この本の緒言に若倉先生は「私は眼科医ですが、眼は直しません、心を直すのです」とおっしゃいます。医師たちはこれが今の医学の限界、これ以上は無理という線を引き、患者さんに直接は言わないにせよ、「科学的根拠に基づいた医療は終わり」となるといいます。診察、検査をして異常が見つからないと急に関心を失い、「心因性」「加齢から」「疲れから」などと適当な理由をつけて終わりにする。とも言います。それにしてもいつも思うのですが、若倉先生の患者さんに対する視線はあくまでも優しいです。

ここでは、私の診療にもつながるところの多い、第3章「目の不調の裏にある心の異常」の中から、生活の質も心の質も低下する目の病気「眼瞼けいれん」の部分(120ページ)を抄出紹介しましょう。

眼球自体に異常がないのに視覚にとても強い不都合が生じる「眼球使用困難症候群」の中でも一番多いものとして「眼瞼痙攣」がある。これは「眼瞼ミオキミア」や「片側顔面痙攣」とは違う。眼瞼痙攣は「目を開けようとしてもうまく開けられない」「勝手にまばたきが起こってしまう」「目を開けているより目を閉じているほうがラク」など。こうした運動症状よりも目立つのは光過敏、眼痛といった感覚過敏症状。運動症状が強くない場合には、病気があることが見た目からはわからない。詐病、大げさな演技、精神病なども人から疑われる。人から理解してもらえないことで、さらに苦しい思いを味わっている患者さんは数えきれないほどたくさんいる。

 症状の始まりは目が乾いた感じと、まばたきの増加、眼の疲労感。疲れ目やドライアイと診断され点眼薬だけの処方がなされるケースも多い。眼瞼痙攣にはドライアイには見られない次のような症状がある。

①目を細めて眩しそうな表情をする

②薄目で下向きの姿勢をラクに感じている

③ふいにまばたきが多くなる。

④連続的で素早く歯切れのよいまばたきができない。

⑤薄暗いところでも眩しさを感じてしまう。

⑥片目をつむるとラクになる

⑦モノや人にぶつかりやすい

⑧突然金縛りに遭ったように目が開かなくなることがある。

ドライアイ、眼精疲労、加齢性眼瞼下垂と診断されている人で、一項目でも当てはまれば眼瞼けいれんの可能性がある。

 この病気は40歳以上の女性に多い。運動障害、感覚過敏、精神症状の3要素が混在している疾患で、原因は脳の神経回路の不調。患者さんには、長い期間にわたって睡眠導入剤や抗不安薬などを服用している人が目立つ。治療にはボツリヌス治療があるが効果は2から3か月ほどで、対症療法の域を出ない。

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