清澤のコメント:内科の入谷先生が眼精疲労を解説した記事を出しておられました。珍しいご苗字なので、もしかして私が存じ上げている入谷先生かもしれません。何か特別な原因があって、普通に少し休んでも取れない目の疲れを「眼精疲労」と呼ぶのですが、入谷先生は様々な原因を例示しています。この病名「眼精疲労」の解説は、私も医学書院の依頼で「今日の治療指針2020」に書かせてもらったことがありますので、ここからリンクさせていただきます。眼科医による説明は、原因を例示するというよりも、解剖学や生理学的に眼精疲労の原因を分類してもれなく体系的に説明しようとする印象です。なお、ブルーカット眼鏡の効用についての日米眼科学界の最近の評価ははやや否定的です。
私たちは外から受ける情報の80パーセント以上を視覚、つまり目から得ている。一方で、目にはその人の感情や意思が現れ、人の印象を左右するのも目。、、 目は小さな器官ですが、ひとたび不調が起これば、日常生活への影響は想像以上に大きい。 現代人に起こりやすい目のトラブルやその原因を理解し、目の健康を気遣う習慣を始めましょう。いりたに内科クリニック院長の入谷栄一先生に、目の健康を保つためのコツについてお聞きしました。、、
■疲れ目、かすみ目を見過ごさない!目の健康を見直そう
最近は、疲れ目やかすみ目、乾き目など目の不快症状に悩む人が増えています。中には自覚がないまま、目に大きな負担をかけているケースもあるので要注意。いつまでも快適な毎日を送っていくためにも、目の健康を見直してみましょう。
■目はとってもデリケート やさしくいたわる生活を
物が見える仕組みは、カメラに似ている。 目の中に光が入ってきて、網膜で像を結び、その光信号が視神経を介して最終的に脳に伝えられることで、私たちは物の形や色を判別することができる。
生物が生きていく上では、周辺環境の情報をいかに早く的確にキャッチするかが大きな意味をもちます。そのために視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚の5つの感覚が備わる中で、視覚から得ている情報の割合は圧倒的に大きく、目は私たちにとって非常に大切な感覚器といえる。
近年は目を介したコミュニケーション手段が多用され、視覚の重要性が高まっている。それと同時に目への負担が増し、目の疲れや乾きなどの不快症状に悩まされる人が増えている。目の不調や病気は加齢によって現れるものも多く、50歳以上の人のほとんどが何らかの目のトラブルを抱えているという報告もある。
目はデリケートで、トラブルがあれば、QOL(生活の質)に大きく影響する。さらに、目の健康は全身の健康や心の健康にも密接にかかわり、日頃から目の健康を気遣うことは、心身の健康を保つための重要なポイントの1つともいえる。
■疲れ目は放置すると様々な不調の原因に
「目が疲れる」「目が重い」「しょぼしょぼする」といった訴えは、誰でも日常よく経験する疲れ目の症状。これは主に目の筋肉の緊張によって引き起こされる。
私たちが物を見る時は、距離に応じて 水晶体の厚さを変えてピントを調節しているが、調節は毛様体筋が縮んだり緩んだりすることで行われる。長時間のパソコン作業など近くの物をじっと見ると、毛様体がずっと緊張し続けることになり、筋肉疲労を起こす。また、この状態で視点を違う場所に移した時にピントが合いにくくなり、目がかすんだり、ぼやけたりすることもある。
目の酷使による疲れ目は、通常はしばらく休息すれば解消するが、休んでも疲れがとれず、症状が続く場合を「眼精疲労」と呼ぶ。眼精疲労では疲れ目の症状が重くなり、目の痛みや充血などが起こることもある。目の症状だけでなく、肩こり、頭痛、胃腸の不調、疲労感、集中力の低下など全身の症状を伴うケースが多いのも特徴。
目の疲れは、度数の合わないメガネやコンタクトレンズの使用や老眼なども原因となる他、最近では「ドライアイ」によるケースが非常に多くなっている。また、ストレスや過労、睡眠不足などがあると症状が強く出やすく、実際はこうした要因が複数絡み合って起こると考えられる。目の疲れは心身の疲れのバロメーターととらえ、軽視しないことが大切です。
■パソコンやスマホの普及で急速に増えているドライアイ
ドライアイは涙の量が不足して目の表面が乾燥する病気で、パソコンやスマホの普及と共に急速に患者数が増えている。ドライアイでは目の乾きやゴロゴロ感よりも「目の疲れ」を訴える人が多く、現代人の疲れ目の大きな原因となっている。乾燥した目は表面に傷がつきやすく、視力の低下や角膜の障害を招くこともあるため注意が必要。
パソコンやスマホを用いたVDT(visual display terminal)作業がドライアイを引き起こす理由は、画面の凝視にあります。集中して見つめている時は無意識のうちにまばたきの回数が減り、涙の蒸発量が増えて目が乾燥してしまう。また、作業に集中している時は緊張して交感神経が優位になり、涙の分泌量自体が抑えられてしまうことも目の乾燥につながる。
涙の量は加齢による影響も大きく、40代以降は分泌量の低下が顕著になって、目の乾きや疲れに悩む人が徐々に増えていきます。この他にエアコンによる乾燥やコンタクトレンズの使用、薬の副作用、ストレスなど様々なことがドライアイの原因となります。中には 糖尿病やシェーングレン症候群など全身の病気が隠れているケースもあるので、症状が続く場合は放置せず、受診してしっかり原因を確かめるようにしましょう。
■目も年齢と共に老化する40代以降に注意したい目の病気
肌や血管が老化するのと同じように、目も年齢と共に老化していく。誰もが避けられない老眼だが、そのサインが現れ始めるのは一般に40歳前後から。老眼は水晶体の弾力性の低下と水晶体の周りの毛様体の動きの低下により、ピント調節がうまくできなくなって起こるもので、近くが見えにくいという症状が現れる。
また、40代以降に一気に増える目の病気に、白内障や加齢黄斑変性、緑内障、糖尿病性網膜症などがある。これらの病気は最悪の場合失明につながることもあるので、「物が見えにくい」「視野が欠ける」「ゆがんで見える」など、見え方に違和感があれば早めに眼科を受診しよう。糖尿病性網膜症は自覚症状がないまま進行することも多いので、糖尿病と診断されたら定期的な眼科検診を欠かず受けるようにしてください。
ドライアイはVDT作業、空気の乾燥、加齢、全身性の病気など様々な原因で起こります。
■目の健康を保つために
●ライフスタイルを見直して目の負担を減らすことが大事
こまめに目を休ませ、目に負担をかけない環境を。
●パソコンやスマホは適切に使用する
長時間にわたるVDT作業を避け、1時間につき10~15分程度の休息を。ディスプレイは視線のやや下方に設置。画面からのブルーライトもブルーライトカットのメガネを利用するのもよい。
●室内の環境を整える
部屋の照明は明るめにし、読書や細かい作業の際に明るさが足りない場合は手元を照らすライトなどを利用。エアコンの風は目に直接風が当たらないように、乾燥している時は湿度を保つ。
●自分に合ったメガネやコンタクトレンズを利用する
眼科医の処方のもとに購入し、使用方法や装着時間を 守ることが大事です。老眼には老眼鏡を早めに利用し、目を疲れさせないように。
●目の体操
VDT作業中は意識的にまばたきを多くしてドライアイの予防を。目の体操も、目の血行促進・涙の分泌促進に有効。
●血流をよくする
まぶたの皮膚は冷えやすく、血流が悪くなりがち。目の疲れを感じたら、約40°Cに温めた蒸しタオルやアイマスクで目全体を温める。
●抗酸化を意識したケアが 目の老化予防にも有効
目の健康は体の健康と切り離すことができないため、過労・ストレス・睡眠不足を避け、栄養バランスのよい食事と適度な運動で心身を健康に保つことが、そのまま目の健康維持につながる。加齢に伴う不調が増える中高年の人は、特に抗酸化を意識したケア実践。
●紫外線対策は万全に
紫外線は活性酸素を増やし、老眼や白内障の進行を早めることが知られる。UVカット効果のあるメガネやサングラスを着用したりする習慣を。
●食事で抗酸化物質を摂る
抗酸化物質は全身に酸素と栄養を供給します。抗酸化物質を含む食品を、毎日の食事に積極的に。
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