ドライアイ

[No.4501] 冬季五輪の長時間視聴で拍車…「マイボーム腺梗塞」に注意したい(日刊ゲンダイ インタビュー記事 及び関連記事)

冬季五輪の長時間視聴で拍車…「マイボーム腺梗塞」に注意したい

 (清澤記:昨日の夕刊にマイボーム腺梗塞に関する記事を掲載していただきましたので一部を採録させていただきます。末尾に当ブログの関連記事リンクをつけておきます。)

異変を感じたら眼科医に相談

 ミラノ・コルティナ冬季五輪も、いよいよ終盤戦。日本人選手の活躍をテレビの前で熱心に応援している人も多いはずだ。五輪が終わっても3月に入ればワールドベースボールクラシック(WBC)が開幕する。当面はテレビやスマホにかじりつくという人も少なくないだろう。寒さと乾燥、花粉飛散が重なるこの時季のテレビの長時間視聴で気をつけたい目の病気がある。「マイボーム腺梗塞」だ。どんな病気なのか? 眼科専門医で「自由が丘清澤眼科」(東京・目黒区)の清澤源弘院長に話を聞いた。

「マイボーム腺とは、目の表面の水分の蒸発を抑えて目が乾燥しないための脂の分泌腺を言います。マイボーム腺梗塞はそれが詰まる病気です。この病気になると脂が目の表面にたまり、霰粒腫と呼ばれるしこりができたり、炎症を起こします」

 主な症状には、まぶたのしこり、目の表面のゴロゴロ、痛みを伴う充血などがある。原因は多岐にわたる。洗顔や化粧などによる汚れ残り、ドライアイの存在、長時間のスマホやパソコンやコンタクトレンズの使用によるまばたきの減少、加齢やホルモンバランスの変化・食生活の乱れによって分泌脂が粘着性を帯びるなど質の低下が関係することも。

「冬は空気が乾燥していて、暖房により目の周りの湿度が下がり、マイボーム腺から分泌する脂が固まりやすい。さらには寒さで血行が悪くなり、まばたきの回数が減り、マイボーム腺からの分泌液の流れも悪くなります」

 特に2月は花粉が飛び始める時季。アレルギー性結膜炎を発症しやすく、炎症により涙が目の表面にとどまりにくくなってドライアイを引き起こす。その多くがマイボーム腺梗塞を併発することが知られている。

「しかも今年の2月は冬季五輪が開催されるため、長時間テレビ観戦する人が続出します。そもそも冬場は体を動かさず、寒さを抑えるため脂っこい食事をとりがちです。加えて深夜まで長時間テレビ視聴を続けると、マイボーム腺梗塞の発症リスクが高くなる可能性があるのです」

 特に高齢者はマイボーム腺機能が衰えやすいため注意が必要だ。マイボーム腺の病理学的変化を観察した研究ではマイボーム腺小葉(マイボーム腺内にある脂を作る工場のような場所)の萎縮は加齢と関係していることが報告されている。

■症状が強い場合は眼科を受診

 では、マイボーム腺梗塞を予防するにはどうしたらいいのか?

「基本は温めて脂を出すことです。蒸しタオルや市販のホットアイマスクなどでまぶたを温め、固くなった脂を溶かすことでマイボーム腺の出口を開きやすくします。40度程度の微温で1回5分から10分程度、1日2~3回を目安に行います。“少し熱いな”と思う程度が理想です。温めたあとはまぶたの縁を清潔に保ちます。専用の洗浄剤や医師が指導する方法で優しく汚れを落としましょう」

 症状が強い場合や自宅ケアで改善しない場合は、眼科医で治療を受ける。マイボーム腺内の脂肪を出す処置や点眼薬や内服薬を組み合わせた治療が行われるという。

 なお、まぶたの縁に見える黄色の脂のかたまりの先端が、つるっとした膜のように見えることがあるが、これはマイボーム腺内で脂が滞留して、濃縮・変性した結果、生じたものだという。

「本来はさらっとした脂が、まばたきに合わせて涙の表面に広がりますが、マイボーム腺梗塞が起きると脂が固まりやすくなり、出口にたまります。そこに酸化した脂質や角化した上皮、涙に含まれるタンパク成分などが混ざることで、薄い被膜のような構造ができて、光沢のある“膜”に見えるのです」

 こうした変化は病的な状態であり、放置するとマイボーム腺萎縮やドライアイ、眼瞼縁炎の長期化につながる場合もある。 今年は冬季五輪後も3月にWBC、4月に米国の大リーグや日本のプロ野球、6月はサッカーのワールドカップとスポーツイベントが目白押し。テレビ観戦で目を酷使する可能性が高い。異変を感じたら眼科医に相談することだ。

  ーーーーーーーー

マイボーム腺梗塞 ― まぶたの油の通り道が詰まるとどうなるのか

(出典:自由が丘清澤眼科「清澤眼科通信」より)再録:


① マイボーム腺機能低下とは?(高齢者に多い)

原記事

https://jiyugaoka-kiyosawa-eyeclinic.com/dryeye/30377/

患者向け要約(読み物形式)

まぶたの中には「マイボーム腺」という細長い脂の腺が並んでいます。この腺から分泌される油分は、涙の表面に薄い膜をつくり、涙がすぐに蒸発してしまうのを防ぐ大切な役割を担っています。

しかし加齢や体質、まぶたの炎症などによってこの腺の出口が狭くなったり詰まったりすると、油がうまく出なくなります。これがいわゆる「マイボーム腺梗塞」や「マイボーム腺機能低下(MGD)」の状態です。

油が不足すると涙は蒸発しやすくなり、

・目が乾く

・しみる

・ゴロゴロする

・夕方になると見えにくい

といった症状が出やすくなります。

治療の基本は、まず温めることです。温罨法でまぶたを温めると固まった油が溶け、排出が促されます。加えて、まぶたの清潔を保つリッドハイジーンも重要です。点眼薬だけでなく、日常ケアの積み重ねが改善の鍵になります。


② マイボーム腺機能を推定診断する主な方法は何がよいか?

原記事

https://jiyugaoka-kiyosawa-eyeclinic.com/dryeye/26581/

患者向け要約(読み物形式)

マイボーム腺梗塞は見た目だけでは分かりにくいことがあります。そのため、いくつかの検査を組み合わせて診断します。

まず大切なのは「涙がどれくらい長く保てるか」を調べる検査(涙液層破壊時間:BUT)です。油分が不足していると、涙はすぐに壊れてしまいます。

さらに、まぶたを軽く押して油の出方を確認します。正常なら透明な油がにじみ出ますが、詰まっている場合は白く濁ったり、まったく出なかったりします。

最近では「マイボグラフィー」という検査で、腺そのものの形を撮影することもできます。腺が短くなっていたり消失していたりすることもあり、慢性的な梗塞では腺の萎縮が進むこともあります。

つまり、マイボーム腺梗塞は「乾き目」だけでなく、「まぶたの油の質と流れ」の問題なのです。


③ マイボーム腺嚢胞を伴う霰粒腫(症例解説)

原記事

https://jiyugaoka-kiyosawa-eyeclinic.com/ketsumaku/28800/

患者向け要約(読み物形式)

マイボーム腺梗塞が長く続くと、腺の内部に油がたまり、袋状に膨らむことがあります。これが嚢胞の状態です。

さらに炎症を伴うと「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」と呼ばれるしこりになります。痛みが少ない場合もありますが、まぶたに丸い硬いしこりができるのが特徴です。

最初は温罨法や点眼、内服薬で様子を見ることが多いですが、長引く場合は小さな切開手術で内容物を取り出すこともあります。

重要なのは、単なる“ものもらい”と自己判断しないことです。炎症が強い場合や再発を繰り返す場合は、基礎にマイボーム腺梗塞がある可能性が高く、まぶたのケアを継続する必要があります。


まとめ:マイボーム腺梗塞は「体質+生活習慣」の病気

マイボーム腺梗塞は珍しい病気ではありません。

高齢者だけでなく、長時間のパソコン作業、コンタクトレンズ使用、顔面の酒さ体質などでも起こりやすくなります。

ポイントは次の3つです。

  1. 温める

  2. 清潔にする

  3. 放置しない

目薬だけでは治らないタイプのドライアイがあることを知っていただくことが大切です。

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